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【就活のリアル転載】インターンで感じ取る社風 1日型より長めの参加を 上田晶美(2019/8/20付 日本経済新聞 夕刊)(2019/08/27)


 「アルバイト代も出ないのに5日間は長いと思ったけれど、社内の雰囲気がよくわかり有意義でした」。3年生の夏休みに、中堅IT企業のインターンシップに参加した都内の女子学生は大変明るい表情で話してくれた。

 この会社のインターンシップの内容は、初日はオリエンテーション、最終日は振り返りのプレゼンテーションがあり、実質的には中3日間。部内や部外のミーティング、社外の営業同行などを体験したという。

 社内の雰囲気とはどういうものを指しているのか具体的に聞いてみると、上司と部下との関係性のことらしい。ミーティングにおける上司と部下のやりとり、仕事の指示とチェックの仕方などにピリピリした感じはなく、信頼関係があり、フランクな感じだった。

 また30人ほどのミーティングでは多くの社員が意見を述べ、活気に満ち、積極的に皆で作り上げていく印象を受けた。良好なチームワークで仕事を進めている会社だと感じたという。それがその会社の「社風」の一端であろう。たった3日で社風についてわかったというのは早計すぎるが、社風というのは人に説明されるものではなく、こうして自分で感じ取るものだ。

 本来、インターンシップは、就職の際に会社や業界とのミスマッチを減らし、適性を考えた上で就職先を選ぶための機会だ。仕事に対する不安やネガティブなイメージを払拭し、就活を始める上での重い腰をあげるきっかけになる。

 会社側としては労力をかけた分、採用につなげたいし、入社しなくても将来の顧客になることを考え、ファンづくりをしたいという思惑もある。彼女は数人の社員から「うちの会社をぜひ受けてね」と言われて、うれしく感じたとも言っていた。本人としては評価されているのかもしれないと思えて、自信がついたようだ。自己肯定感も上がった良い例である。

 一般の学生はアルバイトとドラマの範囲でしか仕事を知らないが、インターンシップでは会社の雰囲気まで知ることができる。働くことに対する不安を和らげ、就職に対して前向きにもなれる。

 インターンシップは学生全員が参加できるわけではないが、できればワンデーよりも少し長いものに参加してみてほしい。志望する会社ではなくても、類似する業務や同じ業界であればかまわないので、これから参加できるインターンシップを探してみよう。

 その体験が今後の就活のベンチマークになるに違いない。インターンシップはまさに「百聞は一見にしかず」ということだ。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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