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【就活のリアル転載】一番力を入れたこと 「自分なり」愚直に伝える 上田晶美(2019/11/5付 日本経済新聞 夕刊)(2019/11/12)


 「学生時代一番力を入れたことで、アルバイトのことを話してもいいですか?」。ある大学3年生の女子の質問だ。学生時代力を入れたことについてはよく聞かれる質問なので、まとめておいた方がよいとアドバイスしている。

 私が見ている中で最近はアルバイトの話題が増えたと感じる。学生の経済的な苦労もあるだろう。その人が本当に頑張ったと思うのであれば、内容は何でもかまわないし、そのアルバイトが就職希望先に関連しているのなら評価されると期待できる。

 エントリーシートや面接の答えに、これが正解というものはないのだ。過去の経験は百人いれば百通りだし、受ける会社によって、また面接に出て来た人によって受け止め方は千差万別だから、一言で良い悪いと断言はできない。

 ただ、学生時代に一番力を入れたことがアルバイトだと、では何のために大学に行っているのかと本末転倒のような印象を受けることは否めない。学生は学業を修めることを第一の目的として大学に入ったのであり、そのためにアルバイトをしているはずだ。まずは学業や大学内での活動について話せばいいのにと思うのも事実だ。

 そこで最近学生がよく言うのは「普通に大学に行っているだけなので」ということ。その普通に受けている講義について話せばいいのではないだろうか。大学の講義は実習でもなければ、そんなに人が驚くような感動的なトピックスはないものだし、成績が悪かろうが、人と比べず自分なりの絶対評価で語ればいい。ただし、そこで人事から質問されてもあまり話は広がらないかもしれないという難点はある。学生がいろいろと迷うのは無理もない。

 私は学生が持ってくるエントリーシートについて「てにをは」も少しは直すけれど、一番見るのはその人の長所がその会社にアピールできそうかという点だ。相手に響きそうなテーマとエピソードの掘り起こしと、その伝え方を一緒に考える。質問は一つではないので、他の質問との兼ね合いもある。

 最近はネット上に「この会社に合格したエントリーシート」というような情報まで載っている。人事に聞いてみると「明らかにネット上の他人のものをコピペしていると感じるものがある」そうだ。だから動画で撮って送るエントリー動画が増えてきたという裏事情もあるようだ。コピペしたエントリーシートが通って面接で質問されたら答えられるのだろうか? 人事はプロなので、必ず見透かされると警告しておく。自分なりの経験を愚直に伝えることだ。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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