知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】厳しい「第二新卒」の道 卒業間際まで努力を 上田晶美(2019/11/19付 日本経済新聞 夕刊)(2019/11/26)


 「就職はあきらめて、卒業してからゆっくり自分に合った会社を探すつもりです」

 ある学生がそう言ってきた。納得いかない会社に入社しても、うまくいかないかもしれないし、本人が決めたことならばどうこう言うつもりはない。長い人生なので、1年や2年の回り道があってもいいとも思う。

 この時期就職が決まっていない学生の選択肢としては、卒業するか、留年するか、という2つがある。以前は留年する学生が多かったが、大学に籍を置いて留年するとなると、最低でも学費の半分程度約50万円は大学に納めなくてはならないため、昨今は一旦卒業するという学生が増えてきた。採用する企業側も「第二新卒」という言葉でくくり、新卒扱いにしてくれるところもある。

 だが、卒業してアルバイトしながらの就活は大学のキャリアセンターという支援者のいない「独りぼっち就活」になることを覚悟してほしい。果たしてうまくいくのだろうか。

 まず心配なのは情報はどのように収集するのか、ということ。新たに就活ナビサイトに登録し直せば、また新卒と同じ情報がもらえるのでそこは心配ない。ただし、大学内の企業説明会などに参加するのは難しくなる。学生証の提示が必要になるため、よほどキャリアセンターによく頼んでおかなくてはならない。顔パスにしてもらう交渉力があればいいのだが。

 そうなると頼るのはハローワークである。新卒応援ハローワークというものが各都道府県ごとに1~2カ所あり、東京都などには複数ある。学生向けの求人を取り扱っていて、専門の相談員がいて安心だ。だが、地方に行くと都市部までは遠くなり、最寄りの一般のハローワークで求職者と一緒に求人情報を見ることとなるだろう。なかなか気が重くなりそうだ。

 また、アルバイトで具体的にどのくらい稼ぐつもりか、親の扶養ははずれるのか、と聞くと「そこまではまだ考えていない」という。親には迷惑をかけたくないから、生活費は家に入れるつもりだそうだ。

 今の日本であれば、正社員の初任給の月額約20万円をアルバイトで稼ぐことは無理ではない。年収は約240万円となるが、親の扶養範囲をはずれ、各種保険料を自分で支払わなくてはならなくなる。保険料という思わぬ出費まで考えているのか。

 まだ11月中旬であり、卒業まではあと4カ月ある。大学では4年生向けに企業説明会を開いているところもある。留年か浪人かではなく、就職をあきらめないで、もう一度大学に相談しよう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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