知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】インターン時期ごとの目的 夏落ちても冬に受けて 上田晶美(2020/1/7付 日本経済新聞 夕刊)(2020/01/14)


 「夏のインターンシップの選考に落ちた会社で、冬のワンデーインターンシップを受けても大丈夫でしょうか」と就活生から相談を受けた。もちろん受けてかまわない。

 夏のインターンシップに落ちたから、もうその会社には「適性がない」のではないか、人事から「落とした人」という烙印(らくいん)をおされているのではないか、と心配することはない。夏のインターンシップと冬のワンデーインターンシップとでは企業にとって位置づけが違う場合が多いからだ。

 夏の3日以上のインターンシップは本来の業界研究の場の提供という社会貢献と同時に、優秀層の取り込みをねらっている企業が多い。むしろ本選考よりも激戦であり、難関と言われるくらいだ。早くから動いている学生は意欲が高い優秀層と見なされ、そこから選抜されて合格した学生は少数精鋭のいわゆる「プレミアムコース」の扱いになる。秋に再度呼び出され、既に「内々定です」と耳打ちされている学生もいると聞く。

 それに比べ今の時期のワンデーインターンシップは実質の会社説明会であり、企業の目的は広く採用のための母集団を形成するものだ。もしも「プレミアムコース」に入れなくても、ここからの「一般コース」でも合格できるので、迷わず受けた方がいい。企業は、スタートがそれほど早くない「一般コース」にも優秀な学生はたくさんいるとわかっている。

 なぜなら、部・サークル活動などに力を入れている人は夏のインターンシップには参加できなかったかもしれないし、短期留学していた人なども同じである。出遅れたと思わずにワンデーインターンシップの「一般コース」からスタートすればよい。

 また既に「プレミアムコース」に乗っている層にも「ここで決めるのは惜しい」と思っている人は多いはずだ。企業はあの手この手で引き留め、グリップしようとするが、そこは学生のみなさんに「職業選択の自由」が保証されているので、就活は最後まで心置きなく続けよう。今しっかり多くの企業を見ておくことが、社会人になってからの仕事にも役立つ場合がある。

 例えば「就活の時に訪問した会社が社会人になってからの取引先になる」ということもありうる。「インターンシップでお世話になった会社を辞退するのは気が引ける」という相談もよく受けるが、マナーよく辞退すれば問題はない。黙っていなくなることだけは避け、早めに丁寧に定型に沿った手紙を出して電話をし、自分と大学の信用を傷つけないようにしよう。就活は終わりではなく社会人への第一歩なのだから。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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