知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】志望動機、部署名まで明確に ネットの「模範解答」には注意 上田晶美(2020/2/25付 日本経済新聞 夕刊)(2020/03/03)


 「志望動機をどう書いていいかわかりません」。3月1日の就活情報の解禁日が近づき、学生からは具体的な相談が増えてきた。

 まず就活生の前に立ちはだかるのが「エントリーシート」だ。その中でも志望動機が学生にとって一番の悩みの種となる。皆が立ち止まるところだ。自己PRなどはそこそこ書けても、志望動機は一社一社違うし、文章として難しいものに考えがちなようだ。

 そこで学生が参考にするのが、ネットの情報である。今、ネット上にはたくさんの模範解答が出回っている。会社別に合格したエントリーシートという触れ込みで、400字全文が載っていたりする。

 だが、それらを見ると、残念ながらこれで本当に受かったのか? と首をかしげたくなるようなものもある。

 もしも書いた本人が受かったのが事実であるとするならば、他の要因で、例えばスペシャルな学歴が評価されて受かったのかもしれない。その志望動機自体は、合格点には達していないだろうと考えられるのだ。

 一例を挙げると、ある証券会社に対する合格者の解答はこうだ。「私は金融業界に関心を持っています。中でも証券業界に関心があるのはこういう理由で、その中で御社を受けるのはこういう理由です」と書かれている。このように3段階に分けて書く意図は何なのだろうか。

 これを読むと、この人は金融業界を幅広く受けていて、証券会社以外にも、銀行なども受けるのかもしれないと想像できる。そして証券業界の各社にエントリーし、その中の一つとしてこの会社も受けているとしか思えない。こんなに回りくどく書くというのは、その会社が第一志望ではない、といっているようなものだ。これを模範解答として学生たちが、お手本にして書くとしたら、とても心配になってしまう。

 志望動機は、その会社に入りたいという理由だ。入社して何がやりたいかをズバッと書けばいいのではないか。業界全体の志望動機を書く必要はない。どこの部署で何をやりたいかまで書くと、さらに具体的で熱意が伝わると思う。そこまで調べるのはホームページを見ただけでは言葉遣いが専門的で、無理かもしれない。解決策は説明会に行くことだ。

 先日、ある合同説明会で学生に大人気のゲーム会社の説明を聞いたら、「この部署が制作担当で、こちらの部署が売上責任を持ちます」と、部署ごとの業務の役割の説明をしていてわかりやすかった。どんな部署でなんの仕事をしたいのか、それを調べて、ズバッと書こう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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