「3月1日の就活情報の解禁日に説明会の予定がビッシリ入っていたのに、急にすべてが中止となり戸惑っています」。就活生から困惑の相談が押し寄せている。新型コロナウイルス対策の影響は社会全体に強烈なインパクトを与えているが、就活生にとっても大きな負担となっている。小中高等学校の休校に倣って登校を禁じている大学もあり、学生は孤立無援状態だ。
この事態が就活業界に歴史的な大転換をもたらす予感もある。ウェブ化である。説明会はウェブ配信になり、面接はウェブ面接へと、非対面にとって代わられそうな勢いを感じる。もちろんここ数年、その流れはあったのだが、ここまでドラスチックな変革は予想できなかった。
混乱しているのは学生だけでなく会社側も同じである。急に説明会や面接をウェブに切り替えなければ採用活動が進まない。にわかにウェブ面接アプリを導入し、つながらなかったりサーバーダウンしたりするトラブルも起きている。
前回コラムで「志望動機は説明会に行き企業の話をよく聞いて書こう」と説いた私としては、当てが外れて本当に申し訳ない。ウェブであってもしっかりと自宅で集中して説明会を視聴し、事業内容やどんな部署で何をやるのかを見極めてほしい。
ただしウェブ説明会は一方通行で質問できないことが一番の心配である。私もウェブセミナーをライブ配信で行い面接指導をした経験があるが、テレビのセットのようなスタジオで撮って生配信し、コメントの書き込みはもらったが、双方向とは言い難かった。
しかし、ウェブ化はマイナス面だけではない。プラス面を探してみるならば、一番大きな点は面接に行く移動の時間と費用がかからないことだ。就活にかかる費用のトップは交通費である。特に地方在住の学生には朗報である。
就活スーツも出番が少なくなり傷まない。靴やかばんも同様で、特別に買う必要はないくらいだ。コートはもはやいらない。こういった洋服などの装備の面も含め、経済面と時間の余裕を見込むことができる。
就活の苦しさが少しでも軽減されるならば、その分のエネルギーを何にそそぐのか。今やるべきことは何か。しっかりと企業研究を進めることだ。例年でも今はエントリーの時期。じっくり企業のホームページを読んでウェブ説明会に参加し、エントリーシートを出すことだ。
前々回のコラムでtodoリストの効用を説いたが、加えることがあるとすればウェブ面接の練習くらいだ。企業も学生もお互い試行錯誤の解禁日となった。しっかり乗り切りたい。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/