知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】オンライン面接広がる ウェブ世代の強み生かそう 上田晶美(2020/4/21付 日本経済新聞 夕刊)(2020/04/28)


 「ウェブ面接を受けたら、人事の人も自宅にいるらしく、和室からでした。和やかな面接でよかった」。ある就活生が報告してくれた。コロナ危機が就活を直撃して、昨年とは全く勝手の違う選考過程となっている。会社説明会だけでなく面接もウェブになり、もしかすると一度も本人と対面せずに内定を出すという会社も出てきそうだ。就活生の戸惑いは計り知れない。

 だが、就活生の戸惑いどころではなく、大混乱なのは会社側である。いきなり自宅勤務、テレワーク、何もかもウェブでオンラインで行うようにと言われる。IT企業は別として、今、その他の業種では、ありえなかった変革を強いられている。

 ここ何年も政府の「働き方改革」の旗振りの下、実行できずにいたノー残業やテレワークが待ったなしで「来週から」というスピード感で進んでいる。通勤せずに仕事をしなくてはならない。自宅から営業の電話をかける。自宅と自宅を結んでテレビ会議をする。企業は何とか知恵を結集して、外部の力も借りつつ、非対面の方法としてのウェブ化を急ピッチで取り入れているのだ。

 そんな中、社内で頼りになるのはウェブ世代の若手社員だという。ある会社では2年目の社員がテレビ会議のZoom導入のリーダーとなり、「Zoomer」と呼ばれて、中堅以上の、いわゆるおじさんたちに使い方を教えたり、ダウンロードしてセッティングしたりするところから手伝って、重宝がられているそうだ。若手が飛躍する機会になっている。年長者の知識と経験だけでは乗り切れない事態なのである。

 就活生はそんな若手社員よりももっとウェブに精通しているはずだ。チャットや動画サイトYouTubeに慣れ親しんでおり、もしかしたらこのウェブ就活は、意外とうまく乗り切れるかもしれない。会社が指定してくる様々な新しいシステムにもすぐに順応して使いこなし、オンライン面接を受けているのを見るとさすがと思う。

 一度、ウェブの快適さがわかれば、後戻りはできない。採用がウェブ全盛になると、それを使いこなせる学生側が売り手市場に輪をかけて、さらに有利になっていく気がする。コロナ危機はウェブ世代の若手の価値を一層印象づけた。

 今年の公務員試験の一部は延期になり、採用活動を中断している会社もあるが、多くの会社はできるだけウェブ選考を進めている。ウェブ面接は文字通り、アットホームな感じで人柄が伝わりやすくなり、共感性が高まるというプラスの面もあるようだ。自宅面接も悪いことばかりではない。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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