コロナウイルス禍の中、いよいよ今年の就活戦線も本番に突入する。今後、ますます厳しくなる景況感の中で、しばらくは、学生にとって「どうやったらよい企業を選べるか」について考えていくことにしたい。そもそも「いい企業」とはどのようなものだろう。
まず最低でも、労働者保護に関する法令をしっかり守っており、しかも労働者本人の技能習得や心のケアなどに余念のないことは、重要な要素だろう。これらの条件がそろっていれば、少なくともブラック企業でないことは確かだからだ。
実は、こうした観点に立って官公庁が太鼓判を押した企業を発表している制度がある。経済産業省が認定している「健康経営優良法人認定制度」が、それだ。
こちらは、「従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討」「健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりとワークエンゲイジメント」「従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策」の3軸15項目で企業を評価し、専門家からなる日本健康会議にて毎年認定をしている。その数、大企業部門で1481法人、中小企業部門では4723法人にもなる。この中の半数以上の企業が大卒新卒採用を行っているという。
これだけの数となると、大企業でさえ聞いたことのない社名が多々見受けられるはずだ。中小であればなおのことだろう。通常であれば「知らない」という理由で求人を見ても避けてしまうところだが、今後は認定された企業であれば、ぜひ一読いただきたい。
ちなみに、この制度で優良法人と認定された企業は、「健康経営優良法人2020」のロゴマークを使用することができる。ホームページや就職ナビなどでこのマークを見かけたら、ひとまず、情報をじっくり見てみることをお勧めする。
さて、この「健康経営優良法人認定制度」には、おまけがある。実は、この認定制度、同名で県や市町村などで運営が多々実施されているのだ。
現在暮らしている自治体名(都道府県でも市町村でも)を頭につけてネット検索をしてみると、案外ヒットするかもしれない。そうした地方主催の制度は、経産省認定制度の予選的なものもあるし、全く別物もあるが、趣旨としては公的に認められた優良企業であることに違いはない。
就活生にとっては、大学に寄せられる求人も、新卒応援ハローワークに掲載されている求人も、数が多くてどれを見ればいいか悩ましいものだ。そうしたとき、この「健康経営優良法人認定制度」認定企業を一つの目安にすることをお勧めしたい。
(雇用ジャーナリスト)