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【就活のリアル転載】「過去」になったES 面接でプラス要素伝える 上田晶美(2020/6/23付 日本経済新聞 夕刊)(2020/06/30)


 「4カ月も前に出したエントリーシートが不出来で、差し替えたいくらいです」。久しぶりの面接を心配して、一から習いたいと相談にきた女子学生A子さんはそう言った。緊急事態宣言で就活は一時ストップしていたようで、最後の対面面接からは2カ月以上がたっているという。ウェブ面接が進んだ企業もあったが、多くの企業は最終面接は対面で行いたいと延期したところが多い。6月になり間延びしていた就活がにわかに動き始めている。

 A子さんは首尾よく最終面接に呼ばれたが、4カ月も前に出した自分のエントリーシートの内容に「こんなことを書いたのか」とがっかりしている様子。中身がぼやけていて、もっとアピールできるよりよいものに書き直したいくらいだが差し替えるわけにもいかない。面接はエントリーシートを基に深掘り質問する形で進んでいくのが常だ。そうなると土台になるエントリーシートが弱いと、的確な質問をしてもらえず、アピールできそうもないと心配らしい。

 久しぶりに過去に提出した自分のエントリーシートを見てがっかりするというのは例年よくある話だ。それが今年はさらに時間が経過しているため、甚だしいのかもしれない。どうすればいいか。

 まずはそのエントリーシートが通過しているのであれば、それほど恥じることはない。また、面接ではエントリーシートと多少違うことを話してもかまわない。書いてから4カ月もたっているので考えは変わっていてもおかしくはない。質問には忠実に答えていくが、話すエピソードなどはエントリーシートに書いたものにプラスアルファがあっていい。

 例えば弓道部の活動のエピソードで、エントリーシートには合宿係を担ったことを書いて協調性が強みだと書いた。だが、面接ではもっと弓道そのものに対する情熱について語り、体力や芯の強さ、集中力をプラスして話すのもありだ。営業を希望しているA子さんは協調性もさることながら、体力面のアピールもしておかないと、企業側は任せて大丈夫かと不安になる。そこをプラスして話すようにアドバイスした。

 面接は特に最終段階となると受け答えの一字一句というよりも話し方や話す雰囲気などやりとり全体を見ている。これまでのウェブ面接ではわからなかった全体が見られる。

 今年は面接の最終段階までが間延びしており、当然、昨年に比べて学生の内定率は前年比マイナス7.1ポイントの64%にとどまっている(キャリタス調べ)。ここから再スタートと思ってしっかり面接の準備をしよう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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