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【就活のリアル転載】女子学生の職種選び 「狭き門」事務職以外に目を 上田晶美(2020/7/7付 日本経済新聞 夕刊)(2020/07/14)


 「女子学生が事務職以外に目を向けてくれるにはどうしたらいいでしょうか」。ある女子大学の就職課長からの相談だ。コロナの影響で就活は例年よりも困難になっているように感じるが、女子学生には特に逆風が吹いている。女子に人気のある「航空」「観光」「旅行」などの業種の打撃が大きいからだ。

 コロナがなくても女子の内定までの道のりは長い。それには、女子は事務職を好む傾向が強いということが問題点の一つだと課長は指摘する。営業などの総合職は特別な人で、相変わらず多くは一般職とよばれる事務職を目指しているからだという。

 東京労働局の最新の有効求人倍率を見ると、今年の5月全体で求職者1人に対して1.55倍の求人があるのに対し、一般事務に限ると0.35倍と激減する(常用者・4カ月以上の雇用パート含む)。事務職希望の約3人に対して1人分の求人しかないのだ。その他の2人はあぶれてしまう。コロナの影響下とはいえ全体との開きは大きい。

 新卒に限っていえば、コロナ前から大手銀行は一般職採用を止めるところが多く、商社も同様だ。新卒でも転職でもますます難関になってきたにもかかわらず、女子学生の事務職人気が止まらないのはなぜなのか。

 女子学生の言い分は「事務職の方が総合職よりも長く働けそう」ということだ。それは、一つは「転勤のあるなし」ともう一つは「子育てのしやすさ」だと考えているようだ。自分の将来を長い目で見て職選びをするのは望ましいことではある。現在、事務職を地道に長く続けてきている先輩女性たちもいるだろうが、果たして10年後20年後も同じと言えるだろうか。

 そもそも結婚、出産というのはいつ頃なのか。現在の女性の平均初婚年齢は約29歳、出産年齢は約31歳である。今、就職活動中の女子学生にとっては10年後の話だ。その会社で10年働き続けられるのか。もしも10年後転職しようとしたら、事務職の求人はどのくらいになっているだろうか。

 先日、子育て中の40代の敏腕営業ウーマンからこういう話を聞いた。「営業の方が自由がきいて、子育てはしやすいですよ。成果を出せばいいので、時間の拘束は緩い。外回りの営業の前に、病気の子供を病院に連れていくこともできます」

 これには目からウロコだった。事務職の方が残業が少なく、子育ての時間が取れそうな雰囲気だが、昼間の時間的拘束は強い。

 補佐的業務の多い事務職は自分の裁量が少ないものだ。狭き門の事務職以外に目を向けて、職種研究をし、間口を広げてみよう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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