知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】内定の状況、どう答える? 企業側の意図つかもう 上田晶美(2020/8/18付 日本経済新聞 夕刊)(2020/08/25)


 「内定を持っていないのですが、あると言った方がいいですか」。最終面接に向かう男子学生Hくんからの質問だ。「無い」と答えると、能力が低いと思われないか、と心配しているようだ。就活の進行状況については必ずと言っていいほど聞かれる。

 どう答えるかについては、内定があってもなくても答え方に悩むことになる。前回は「就活にも一種の駆け引きがあるので何もかも正直に答えればいいというものではない」という趣旨で書いた。だが、うそを推奨しているわけではない。Hくんの場合は事実として「無い」と答えればよいのではないか。

 その上で「内定が無い理由をどう分析しているか」まで答え方を考えておくとなおよい。「なぜ内定が無いのか」と聞くのは余計なおせっかいというか、無いからこうして就活を続けているのだから、そのつらい状況を深掘りされたくはない。けれどもこれもよく聞かれる質問である。用意しておくと慌てないですむ。

 また、今年特有の質問として、「コロナ自粛の間、どうしていましたか?」という質問も多い。正直に「ちょうど新発売になったゲームをやっていました」と答えると相手はどう思うだろうか。ゲーム会社以外で好感を持つ会社があるとは思えない。「ホットケーキを焼いていました」と答えたという女子学生がいたが、食品関係以外の企業にはあまり受けるとは思えない。ではこの質問をする企業の意図は何なのか。単なる導入の質問の場合もあるかもしれないが、変化への対応力を見ていると思われる。

 もう一歩踏み込んで「大学の授業も遠隔で大変だろうけど、最近笑ったことはありますか」という質問をされた女子学生もいる。考えた末「はい、友人とZoomでヨガの体験をし、ヨロヨロして大笑いしました」と答え、内定を得たそうだ。

 最近では「コロナ鬱」という言葉が出始めている。そこまで深刻でなくても、コロナ自粛で家にこもり、しばらく笑ったことがないという人がけっこういると聞く。

 そんな中、彼女は自宅ヨガで体力増進に努め、友だちと笑いあったというのだ。入社しても前向きに友人とつながり、少々のストレスは乗り越えていけそうだと安心感を抱かせる答えだ。これはストレス耐性を見ている質問といえる。ストレス耐性は今、企業が一番気にしているポイントになる。

 つまり面接の質問には裏がある。聞きたい意図があるということだ。その企業側の意図を考えれば、どう答えるのがベターかおのずとわかるはずだ。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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