「インターンシップ全落ちしました!」。大学3年生からの相談だ。コロナ禍にあっても3年生以下のインターンシップ募集はスタートしている。今年のインターンシップは対面で開催するのが難しく、多くの企業がウェブ開催にかじを切った。
例えば昨年A社は企業活動をなぞらえた「ボードゲーム」を開発し、学生の人気を集めたが、密を避けなくてはならない今年は顔を突き合わせる「ボードゲーム」はとうてい実施できない。結果、別メニューの開発に手間取り、開催時期を後ろにずらしたという。できればウェブでなく対面で開催したいという企業は、時期を先送りして様子を見ている傾向にある。
大阪の大手アパレルメーカーB社は、海外でのインターンシップを実施するなど毎年インターンシップに大変力を入れてきた企業であるが、今年は一日仕事研究を8月にウェブで開催し、コロナの様子を見て対面でのインターンシップを秋以降に開催したいと話していた。一旦、夏に1日だけのメニューでウェブ開催し、その後コロナの感染状況に合わせて、何度か開催するという企業も出ている。
キャリタスの7月の調査によれば、インターンシップの開催時期は繰り下げになり、9月にずれ込んでいるという結果が出た。ただし、形は変えても今年も開催すると答えた企業は6割を超え、未定も含めると昨年並み以上になっている。インターンシップ熱は高まる一方だ。また、インターンシップからの採用を増やすと答えた企業は68%に上る。
突然のウェブ化を踏まえて、早期に学生と接触することの大切さが身に染みたという理由もあるのか。インターンシップを実施してよかったことは「学生の企業理解向上につながった」(70.7%)、「母集団形成につながった」(69%)と回答している。もはや本選考の第1段階としての位置づけである。
では学生の取るべき策は何か。8月の選考に全落ちしたとしても、それは時期がずれ込んでいるため募集が少なくなっていたせいで、9月からの開催に期待しよう。しかもウェブ選考が増え、訪問の機会が減る中、インターンシップの重要性はさらに高まっているのである。とにかくあきらめてはならない。
一日ウェブ体験になったことでのメリットもある。より多くの企業のインターンシップに参加できることと、遠隔地の企業でも参加できる点だ。移動の時間が無い分、スケジュール管理が楽になる。あまり関心のなかった業界も受けてみよう。参加してみて「自分に合わない業界だ」ということがわかるのもメリットの一つである。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/