知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】対面減る中どう印象アップ? 文章の言葉遣い丁寧に 上田晶美(2020/10/6日本経済新聞 夕刊)(2020/10/13)


 
 「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶(よろこ)び申し上げます」と書いてもいいのでしょうか?

 就活中の女子学生が履歴書を送る際の添え状の書き出しについてメールで質問して来た。コロナ下の今、「ご清栄」や、「お慶び」が、ふさわしくない気がするというのだ。

 確かにそうだ。ご清栄とは健康で栄えるという意味。よく考えるとコロナ下にあって不謹慎ともとらえられる文章だ。経営不振に陥る会社もある中、その手紙を受け取って、気分が良くない人がいるかもしれない。

 ビジネス文書の決まり文句として使い慣れていると、つい見過ごしてしまいがちだが、初めて書く学生は疑問を持ってくれた。これは学生に一本取られた。というか逆に教えられた。

 この定型の部分は前文と呼ばれる。時候のあいさつプラス相手への気遣いの一文である。続いて「大変お世話になっております」と感謝のことばを述べ、その次にやっと本文が始まる。本文が始まる前に4つのステップがあるのだ。「拝啓」「時候のあいさつ」「相手への気づかい」「感謝のことば」である。

 「時下」というのは、一年を通して、季節に関係なくいつでも使える便利なことば。私は学生にはあまり使わないようにと教えている。時候のあいさつを入れるべきところを割愛するのなら、そもそもこの一文自体の意味がなくなる。せめて、仲秋の候とか、紅葉の候と書いてはどうだろうか。たったの4文字である。それも決まり文句ではあるが、少しほっとする。

 こうしたビジネス文書もメールになるとかなり簡略化され、「拝啓」も時候のあいさつもいらない。「いつもお世話になっております」と感謝のことばで始める。3ステップが省略されている。最近は宛名も書かないというルールの会社もある。宛名はメールに表示されているからだ。短いほど良いとされるメールでは、それもありだろう。学生は就活を通してこういったビジネスマナーを学んでいく。

 今年は未曽有の事態で、いきなり勝手の違う就活になった。面接に行けず、対面で会う機会が少なくなる分、こうした手紙の印象や、メールの言葉遣いの比重がさらに高くなってくる。ちょっとしたことの積み重ねが自分の印象を構成していく。

 手紙やメールには笑顔がない。対面で話せばその人の表情や全体の雰囲気がプラスされるが、文字だけでは真意が伝わりづらくなることもある。

 ではコロナ下の前文はどう書けばいいのか? 一例として「コロナ下にもかかわらず、ご活躍のことと拝察いたします」はどうだろうか?

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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