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【就活のリアル転載】ウェブだからできること 語学磨いて世界に目を 上田晶美(2020/10/20付 日本経済新聞 夕刊)(2020/10/27)


 
 「何のためにこの大学に入ったのか、わからなくなりました」。国際コミュニケーション系の学部に通う大学1年生の女子からの相談だ。

 大学で語学の勉強を深め、留学し、将来は国連の職員になるのが夢なのだそうだ。国際紛争の調停に興味があるという。そんな夢に向かって、一直線に受験勉強をし、見事合格して希望に胸をときめかせて入学したとたんに、コロナ禍である。留学はできないし、語学の勉強にしても、この半年間であまり上達したようには思えないという。道は閉ざされたように感じているのも無理はない。

 だが、できないことばかりを考えるのはそろそろやめにしよう。前を向こう。コロナ禍の現状に対応する柔軟な気持ちに切り替え、今チャレンジできることは何かを考えようと話した。

 私自身はこの半年間、ウェブを利用して多くの人に会うことに努めた。勉強会にも参加した。確かに旅行や出張など生身の移動はできなくなったが、ウェブ上で遠方の人たちに会うことができた。ウェブであっても顔を見て話すのは、当然ながら電話よりもかなり充実した会話になる。また、勉強会などオンラインセミナーが充実してきており、対面よりも良いとさえ感じている。自宅で聴講でき、便利で有意義で、参加費も対面より安価なのだ。

 これらは学生にもできることではないだろうか。大学の講義が基本ではあるが、もっと外に目を向けよう。今までなら聴くことのできなかった海外で開かれる講演会などにもウェブでなら参加できる。国連に関心があるのなら、国連関係の講演会を調べて参加してみればいい。パソコンを開けば、世界がそこにあるのだ。学問にとって、こんな便利な道具はない。

 そこで必要なのは語学力である。ウェブミーティングでは、確かな語学力が不可欠になる。なぜなら、ウェブの会話に身ぶり手ぶりのボディーランゲージの助けはないからだ。対面の会話以上に論理的で具体的なプレゼンテーション力が必要になってくる。それは日本語でも同じだが、外国語であればさらに差がつく。

 語学系の学部で学ぶ学生たちにとって今は逆風の時だ。語学力をいかす仕事は、当面は減少傾向になるだろう。進路の変更を余儀なくされるかもしれない。だが、ウェブの世界では、さらに確かな語学力とプレゼン力が武器になってくると思われる。語学力を高め、ウェブを駆使して多くの人と出会って学ぶことに目を向けよう。その中に新たな進路も見えてくるに違いない。1、2年生にはまだ時間がある。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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