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【就活のリアル転載】就労時の年齢 制限は緩和、気にせずに 上田晶美(2020/11/10付 日本経済新聞 夕刊)(2020/11/17)


 
 「短大に入るまで芸能活動をしていたので、卒業年齢が他の人と違います。また希望の職業には短大卒枠がなく、四年制大学に編入したいと思いますが、編入後卒業するとき、年齢が上がってしまい心配です」

 キャリア教育の授業中、短大1年生から受けた相談である。女子大学の就職関連の講義には、同じ大学内にある短期大学と四年制大学の学生がいる場合があり、話す内容に気を付けなくてはならないことがある。

 例えば学生時代の経験をまとめて自己PRにつなげると言っても、四大生は3年生、短大生は1年生である。四大生は2年半が経過しているが、短大生だと入学してわずか半年の経験しかない。

 特に今年の前期はコロナ対策で通常の学校生活を送れなかったため、短大生のPRをどうするかは考えどころであり、高校時代の話まで入れていくしかないだろう。

 彼女のこの相談には2つのポイントがある。1つ目は学歴、2つ目は年齢制限問題である。学歴というのはそもそも何だろうか。学歴差別うんぬんという感情論ではなく、これは資格要件ととらえられると考える。つまり「応募には○○の資格所持が条件」というのと同じく、大学卒、大学院卒などという条件があると考えられる。

 ただし、この条件は絶対的なものではない場合が多い。募集要項に「大学卒程度」というように幅を持たせた書き方をしている会社が多く、短大生ははじめから無理とあきらめなくても良い。行きたい会社があるなら、問い合わせてみることだと伝えた。熱意を示せば、受け付けてもらえるかもしれない。ただしインターンシップの場合は募集人数が少ないため、門戸は狭まる可能性はある。

 次に年齢の問題である。彼女がこれから四大に編入して卒業すると卒業時は25歳になるそうだ。他の人より3歳近く年上になる計算だ。たったの3歳だが、学生としては「周りの人との違い」が気になるのだろう。年齢だけなら1浪して、2年留年した人と同じだが、彼女の場合は理由がはっきりしている。

 そもそも、人材募集の要件に年齢制限を設けてはならない。2007年から労働基準法で義務化されている。また、今年は特に政府から、コロナ禍による学生の就職難を和らげるため、卒業後3年間は新卒扱いにするよう経済界に要請が出たばかりだ。

 第二新卒という言葉もあるが、新卒の年齢は様々になってきている。一度社会に出てからまた学び直すのもよし。年齢のことはあまり気にせず、チャレンジしてほしい。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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