知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】クラブハウスでOBOG訪問 コロナ下、企業を知る機会に 上田晶美(2021/3/2付 日本経済新聞 夕刊)(2021/03/09)


 OBOG訪問をしたいけれど、コロナ禍で大学に行けず名簿確認ができないため、先輩を探せないという男子学生から相談を受けた。ブラック企業に入りたくないので、先輩に本音の話を聞きたいそうだ。

 3月1日に就活解禁となり、各社の求人情報が公開されエントリーがスタートする。コロナ禍で昨年同様、先の見えない就活である。学生にとっては、見ず知らずの企業にエントリーするしかない状況。私のところにはそんな学生たちから毎日多くの相談が寄せられる。企業研究はウェブによる会社説明会に参加するしか方法はないが、限られた情報しか入ってこず質問はできない。いつになれば会社を訪問することができるのか。

 とはいえ、ここで足踏みをしていることはできない。就活は待ってくれないのだ。

 そこでお勧めしたいのが、前回に続き「クラブハウス」の活用である。コロナ禍で多くの人々が人とのつながりを求めて、この新たな音声のみのSNS(交流サイト)に集まってきている。1カ月利用した私にも、まだわからないこともあるが、だからこそ面白く、可能性を感じている。就活に活用すれば、多くの収穫があると考える。

 クラブハウスは不特定多数の人たちと、その場限り、録音不可で音声のみの会話をするところだ。「人事が本音を語り合う会」など「目的」を冠したルームという名前の会場が設定され、そこに関心を持つ人たちが集まり自由に話をする。先日私が入ったルームは、多業種の人事担当者が参加していて、今年の採用活動について語っていた。

 名前の知られたITベンチャー2社の人事が参加しており、テレワークの実態や子育て環境について本音ベースの話が聞けた。学生が聞いていたらどんなに理解が深まったことか。ITベンチャーといっても2社の取引先は大きく違っていて比較できたし、飛び交う言葉はIT業界でよく使用される共通言語なのだろうとも思えた。話し方やカタカナ用語の使い方にカラーが出るものだ。

 クラブハウスはプライバシーに関する問題がすべてクリアできているとは言い難い。だが、あのテレビ会議システムのZoomでさえ、昨年の今ごろはセキュリティーのことで批判されていたことを思えば同様に広がっていくかもしれない。しばらく続くこのコロナ下では、就活への活用は有益になるだろう。

 1つは今回のように、企業の担当者の話が聞けてOBOG訪問もできる点。2つ目は話し方や司会の仕切りの仕方の練習になるという点だ。

 少しでも企業情報を集めて就活本番に臨んでほしい。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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