「あす、いよいよ1次面接なのですが、何を準備すればよいですか?」。男子学生から質問を受けた。なんともザックリした質問だが、彼のこの初歩的で素直な質問は、今年の状況をよく表していると感じる。
コロナ禍で大学の就活対策の講座は数こそ担保されたとしても、個々の学生までは行き渡っていない。大多数がオンラインであるためで、会社側の説明会についても同様だ。いわば暗中模索で本日6月1日の面接解禁日を迎えているのだ。
一方で例年通り、就職協定フライング企業は多く「OB面接会」「先輩相談会」「模擬面接会」と訳のわからない造語を用い「本番の面接ではない」という体で、実態は正式な面接を進めてきている。解禁日の6月1日には内定を出すという大手企業は多いとみられる。
質問してきた学生には、面接前に準備すべきことはたくさんあるけれど、その会社のことをもう一度しっかりと調べよう、と話した。自己PRの練習だけでなく、相手を知らないと話にならない。ホームページを隅々まで見直してみよう、と。
そもそもホームページには2種類ある。一般向けと採用向けだ。ターゲットが違えば、内容や表現も違ってくる。学生が見ているのは人材採用のためのホームページであることが多く、経営トップのメッセージに始まり、ほしい人材や、先輩社員の働き方や体験談が載っている。
もう一種類の、消費者や株主といった一般向けのホームページもよく見るように言った。宣伝内容が多いこともあるが、会社の柱となる商品、ビジネスモデルがわかるはずだ。一般の消費者には家電商品の会社に映っていても、ITの方に力を入れている場合もある。
「人を笑顔にする」「サステナビリティ」「SDGs」といった聞こえのよい「企業理念」だけでなく、まずは本業が何なのかをよく見極めよう。新入社員の配属先も、企業が戦略的に設置した「特別の部署」ではなく、最も人数の多い「通常業務の部署」の可能性が大きい。
ビジネスパーソンが新規の会社に営業に行く際、相手の会社をとことん調べることからスタートする。相手を知らないとどんな商品を売り込んでよいのかわからない。プロはホームページだけでなく、調査会社のデータを見たりもする。
学生の皆さんにはネットサーフィン力がある。それを駆使して、経営トップや公式SNS(交流サイト)だけでなく、社員のSNSも検索して見てみるといい。面接を受けながら会社を知るという見切り発車のような就活になっているが、できるだけ事前のリサーチはしておこう。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/