面接の時にどうしても話が続かず、座が白けて雰囲気が悪くなる、という話をよく聞く。とりわけ、リモートだとジェスチャーやアイコンタクトも効かず、どこをどう見れば良いかで悩むことが加わり、沈黙に陥りやすい。こうした場合の打開策について書いておく。
まず、座が白けるという問題は、1次面接で起きることが多い。2次、3次、最終と上がっていくと学生も慣れてくるし、同時に面接官も上席者になってくる。熟練の人事スタッフや経営者など年中面接を担当し、ビジネス場面でも知らない相手と接することに慣れた人たちが上手に学生を誘導してくれるわけだ。
面接官の質問内容も、前段階の面接での所感レポートなども考慮し、学生が答えやすい内容に適宜変更されている。こうした理由が重なって、沈黙は起こりにくくなる。
逆にいえば、鬼門となる1次面接は学生側が不慣れなだけでなく、「相手も素人」という問題が重なってくるわけだ。1次面接はまだ数が絞られず大量の学生に対応する必要がある。だから面接官も営業や経理など、普段は学生相手に話などしたことのない社員がかき集められるのだ。
そして、人事から渡された「想定質問」を基に、四苦八苦しながら、学生相手に面接をしている。つまり、向こうも相当、焦っているのだ。
面接官の心境を明かすなら、こんな感じだろう。「うーん、学生の本心が見えないし話も続かない。想定質問もあと3つしか残っていない。これじゃ、規定の30分などつなげないなあ……」
そう、慣れない合コンで、相手を質問攻めした後に沈黙が訪れるのと同じだ。ここで学生がやるべきは「面接官に助け舟を出す」こと。そのために至って簡単な方法がある。それは「聞き返す」という行為だ。質問に対して一通り自分の意見を述べた後、「と私は思うのですが、実際どうですか?」という趣旨の「聞き返し」を行うのだ。
例えば応募動機を聞かれたならば「~という事業内容に魅かれたのですが、実際はもっと苦労が多いのでしょうか」。得意なことを聞かれた場合は「~などが得意なのですが、このようなタイプは御社で活躍されていますか?」といった具合に適宜アレンジして使うべし。同じセリフの一つ覚えはダメだ。
こうすると、相手も話すことができる。結果、コミュニケーションが始まる。一方的な質疑応答はお互いにプレッシャーとなり、相手の人間性なども読み取れない。互いにとって良い状況となるきっかけとして「聞き返し」を活用しよう。
(雇用ジャーナリスト)