都内の大学で講師をしており、今年も前期の講義が終わった。昨年はすべてオンラインになり、学生も講師も対応に右往左往したが、今年度は対面でスタートできた。途中からオンラインになったが、学生との関係は格段に良好なものにできたという手応えがあった。
昨年は少なくなってしまっていた個人相談が倍増したことからの実感である。講師1人対学生大勢との信頼関係を築くには、パソコン画面上だけでは難しいものがある。相談をもちかけるほどの心理的安全性を感じられないのだろう。今後またオンラインのみの講義をするとなると、小グループでの活動などを入れる必要性を感じる。
また今年は最終レポートの前に論文の書き方を伝授した。例年はテストをしていたのだが、オンラインで難しくなってしまい、レポートに替えたのだ。ワードでただ文章を書き連ねるだけでなく、フォーマットを整えさせた。「序論・本論・結論」という本論をはさみこむ「サンドイッチ方式」と「目次を立てる」ことだ。
ほかにも「コピペは禁止」「出典を明らかにする」などの諸注意もある。あまり細かな指定はしなかったが、結果的に、フォーマットを決めるだけで皆こんなに充実した内容が書けるものか、と感心する出来栄えだった。フォーマットが決まったことで見栄えが整い、読みやすかったという面も若干あったかもしれない。それよりも書き手が頭の中を整理し、中身を順序立てて、しっかりと論を構成できたのだろうと推測する。
フォーマットは見た目の問題だけでなく、書き進める方にとっても中身の充実度を左右すると考えさせられた。主に1年生の履修する講義なので、初めてレポートを書いた人も多かったかもしれない。これからの学校生活に役立つとよいのだが。
就活にも「フォーマット」はある。「型」「体裁」といったもともとの言葉の意味から、服装やお辞儀など面接のマナー的なものを思い浮かべる人も多いだろう。ただ「お辞儀は45度」の類いは都市伝説といえる部分もあり、過度に気にする必要はない、と個人的には思う。それよりも自己ピーアールなど話し方の流れを意識した方がいい。
論文と同じく、サンドイッチ方式の「序論・本論・結論」で展開する。むしろ「結論・本論・結論」のサンドイッチでもよいくらいだ。面接では緊張する。何を話したかったのか、自分でも途中で分からなくなるような事態も起きる。そんな場合も最初に結論を言っておけば、乗り切れるケースも少なくない。会話での「サンドイッチ方式」もトレーニングしてみてほしい。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/