知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】替え玉受験 公平性担保、企業の信用に直結 上田晶美(2021/9/7付 日本経済新聞 夕刊)(2021/09/14)


 テレビのニュースで就職試験の「替え玉受験」の実態が報じられていた。私も取材を受けていたので内容を知ってはいたが、反響の大きさに驚いた。要は自宅受験のウェブテストを家族や友人に代わりに受けてもらう不正行為だ。

 従来も一部で筆記の自宅受験はあったが、代表的な「SPI」は基本的に受験会場が設置され、筆記用具の持ち込み禁止など厳正さが保たれていた。ところがコロナ禍でウェブテストに切り替える会社が増え、替え玉受験が横行しているようだ。

 ある学生は筆記試験が通らないばかりに「代わりに受験してくれるような友達がいないのが自分の弱みかもしれない」とこぼしていた。おかしな話だ。筆記試験で判定しているのは「知力」であり、替え玉の人脈ではないのだから。

 採用活動における筆記試験の役割について、IT企業の人事担当が「点数があまりにも低い人は研修について来られない場合が多い。早い段階でフィルタリングしている」と話していたことがある。

 フィルタリング自体の是非や手段が適正かは別途議論が必要だが、現状、大半の就活生が通らなければならない道であるのは間違いない。多くは対策本で勉強したり特別講義を受けたりして努力している。正直者がばかを見るような仕組みがまかり通ってよいわけはない。

 就活を終えたある学生によれば「仲間同士で得意な科目を教え合う話はよく聞く」という。それは不正ではないかと問うと「正しいとは言い切れないが、面接に進む関門にすぎない。あまり問題はないと思う」そうだ。さらに「コネ入社の方が不正ではないのか?」ときた。

 確かに大学受験と違い、就活においては今でも、いわゆるコネ入社などがあるのは事実だ。どこまで公平性が求められるのか難しいところもある。就活にはコネ入社以外にも多くの「闇」がある。学歴によるフィルタリングなどは典型例だ。オンライン時代の替え玉受験も新たな闇といえるだろう。

 採用枠がある以上、就活は絶対評価ではなく相対評価だ。筆記の実力は同程度でも、一方が替え玉で面接に進み、他方は進めない事態は起きてしまう。面接で「不正をする人間」を見抜ければいいが、なかなか難しい。ある民間資格試験は、外付けウェブカメラで手元まで見せることがウェブ受験の条件となっている。企業の採用活動でも十分参考にできる取り組みだろう。

 採用における公平性の担保は、企業側の信用にも直結し、ひいては優秀な人材の獲得にもつながる。闇は1つずつ晴らしていくしかない。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/



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