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【就活のリアル転載】「親ガチャ」と就活 採用は本人の実力次第 上田晶美(2021/10/12付 日本経済新聞 夕刊)(2021/10/12)


 「SNS(交流サイト)で『親ガチャ外れた』というつぶやきがはやっているそうです。就活にも親の力が影響するのかと不安です」。お子さんの就活相談をしてきた50代後半のお母さんから、そんな話が出た。

 「親ガチャ」の「ガチャ」とはカプセル入りのおもちゃが出てくるカプセル玩具から来ており、スマホゲーム内のくじ引きのことを指す。親ガチャに外れたというのは、親というくじ引きに外れたという意味だ。

 親を選べないところから、親の貧富の差や学歴、家庭環境の差を指している。貧困や経済格差の固定化などの社会問題を浮き彫りにする言葉とされている。

 だが、この言葉が一般に注目されるきっかけとなった「『宿命』を生きる若者たち」(岩波書店)の著者、土井隆義・筑波大教授によると、若者自身はそれほど深刻な意味で使っていないケースが多いそうだ。

 むしろ、話す相手に心理的な負担をかけまいと気遣って軽やかに表現しているだけであると。すべてを親のせいにして、自分の努力不足を棚上げにしているわけではないという。

 では就活の場面に親ガチャは影響するのか。まず学歴という面では、親の学歴と子の学歴は関連があるという研究があり、例えば東大生の親は年収が高く、高学歴であるという統計もある。

 ただ、確かに就活において、学歴は一部影響してくるかもしれないが、選考過程の一部にすぎない。多くの会社で、学歴よりもSPIなど筆記試験の実力を見ている。

 ウェブ受験の広がりを背景に、SPIにおける「替え玉受験」が問題視されていると以前書いたが、ウェブカメラでの監視体制を導入する動きが出るなど公正な運用になってきつつある。

 そもそも筆記試験も選考の入り口にすぎず、多くはその先の面接で決まっていく。面接は本人の人柄、実力を見ている。就活は面接で大半が決まる。

 ビジネスの世界は学歴すら関係ない。就活という入り口には多少関連していたとしても、入社した瞬間から実力勝負。名刺に学歴を載せるわけでもない。仕事は本人の適応力と努力次第である。

 今は親の七光での就職、縁故採用というのは同族会社以外ほとんど見かけない。人脈など親ガチャの「当たり」が若干有利に働くことはあるかもしれないが、ビジネスの世界においては、大抵の「外れ」は自分の実力で乗り越えられるはずだ。

 親御さんはお子さん本人と話し合うことは大事だが、あとは本人を信じてバックアップに回ってほしい。親子の会話の中でもしも「親ガチャ」という言葉が出てきたとしたら、目くじら立てずに、軽い会話ができる良い関係だと思うくらいで軽く流せばいいのではないか。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/



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