コロナ禍が就活に与えた影響で最大のものは「活動のリモート化」であることは論をまたない。就職みらい研究所による、2022年春に就職する新卒生に関するデータを見ていく。
面接をウェブで実施した企業は全体の65.4%とほぼ3分の2となり、昨年より10.4ポイントも伸びた。のみならず、ウェブでの合同説明会も44.1%(13.6ポイント増)、適性検査76.2%(2.8ポイント増)、内々定通知91.6%(2.9ポイント増)だった。
昨年は今年以上にコロナ禍での行動制限が厳しく、対して、今年は市中人口などを見る限り昨年よりも行動制限は緩んでいた感があるが、にもかかわらず、就活においては多くのステージでウェブ化が進んだことがわかるだろう。
そしてもう一つ驚くことは、昨年まではウェブ実施に対し、学生からの振り返り評価はマイナスの方が多かったものが、今年は総じて高評価となっているのだ。合同説明会に関しては「ウェブがよい(含む「どちらかといえばよい」、以下同)」が67.0%に対し「対面がよい」は18.9%。個別説明会でも「ウェブがよい」22.0%に対し「対面がよい」6.3%。面接も「ウェブがよい」47.9%に対し「対面がよい」33.2%。いずれも大差でウェブの評価が高い。
昨年は「視線をどこに合わせればよいかわからない」「服装や振る舞いに戸惑う」「相手の反応が見えにくい」といったマイナス評価が多々出ていたのとは隔世の感がある。
理由を推測するに、この1年で大学の授業やインターンシップがウェブ化し、飲み会や合コンまで普通にウェブで開催されるのに慣れた。日常が非対面になっていくなか、リモート下での視線や反応、TPOなども大体のルールが確立され、認識されるようになったからだろう。
ただし、面接については、対面での実施も増やしている。これはどういうことだろうか。選考過程ごとに詳しく見てみることにしよう。
1次面接はウェブのみでの実施企業が32.8%なのに、最終面接では8.2%と激減する。一方、対面のみでの実施企業は1次面接が29.9%に対して最終面接は62.9%となる。つまり、大量の応募者がいる段階ではウェブ中心、選考が進み人数が絞られてくると対面でじっくり見るということだろう。
1次面接はリモートが進んだとはいえその比率は32.8%にとどまる。「場所(応募者の在住地)によって対面とリモートを使い分ける」、(17.2%)、「候補者によって使い分ける」(13.8%)など条件により対面との併用する割合も高い。企業は遠隔地でも容易に対応できるし、移動時間が不要なので面接も設定しやすい。こうした低コストかつ大量向けの手段としてはウェブ、採用確率が高まった濃い集団には対面を、という使い分けが一般化していくだろう。
(雇用ジャーナリスト)