知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】資格取得の意味 就活後に問われる真価 上田晶美(2022/1/25付 日本経済新聞 夕刊)(2022/02/01)


 「エントリーシートに資格の欄があるのですが、何か取った方が良いですか?」3年生の文系女子学生から質問を受けた。大学生、短期大学生の就活に資格は必要かどうか。よく聞かれる問題である。

 彼女が資格について相談してきたのは、エントリーシートや履歴書を埋められないという心配と、資格会社がテレビや新聞で大々的に宣伝をするせいかと思われる。年末年始の休暇を狙ってか、1月は一年の計は元旦にありという気持ちを読んでか、資格学校の宣伝が多くなる時期だ。

 資格自体に意味がないかというと、もちろんそんなことはない。TOEICなどの英語能力テストは、どんな職業にも必要となってくるので、できるだけ高得点を取っておくようにしたい。パソコン関係の資格も初歩的なものであっても、パソコンのキーボードは打てそうだと会社側には安心感を与えられる。

 専門分野に進むならば、むしろ必須である。理系や管理栄養士、保育士などの分野を専攻する学生は専門の資格を取得した方がよい。

 自分が通う学部や学科で卒業と同時に取れる、または推奨されている資格ならば書けた方がよいが、文系の新卒就職で資格が問題になることはほぼない。

 漢字検定や秘書にならない女子学生の秘書検定は、身に付けた知識や勉強したこと自体に意味はあっても、資格そのものが採用に有利になるような直接的な効果はあまり期待できないだろう。

 企業の人事担当者に聞くと「専門学校生は資格を見るが、大学生や短大生の資格については、取得目的や、工夫した勉強方法などを自己ピーアールとして尋ねることはある」程度だ。学生は卒業が学歴という一番の資格。まずは卒業単位をしっかり取得することだ。

 ただ、その先の転職となると話は全く変わってくる。社会に出ると学歴よりもむしろ資格と実績が問われる。それを見越すと、学生時代に資格を取れるだけ取っておくというのも一つの考え方だ。いきなり簿記の1級を取ることは難しいので、3級2級から挑戦しておくという具合だ。簿記であれば、経理の仕事に必ず役立つ。

 資格は進路とセットで考えること。資格マニアになっても仕方ない。ただし転職となったときには資格がものをいうので、入社してからは考え方をガラリと変えてほしい。

 転職だけでなく、社内の異動でも資格が評価されることがある。特に女性はライフステージによって転職を余儀なくされることが多い。そんなときは資格が身を助ける。

 就活は学歴の占める割合が大きい。ただ学歴フィルターで悔しい思いをしても、その先では資格と実績という純粋に個人の努力の成果と実力が評価されるときが待っている。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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