知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】毎年恒例「落ちて分かった」 解禁前にできる準備を 上田晶美(2022/2/22付 日本経済新聞 夕刊)(2022/03/01)


 「友人たちが面接に進んでいるようなのに、私はまだ一度も面接を受けたことがなく心配です」。3年の女子学生からの相談を受けた。3月1日の就活解禁日に向け、今はエントリーシートの添削の相談に来る人が多いが、中には面接に進んでいる人もいる。

 これはインターンシップからスタートして早期選考ルートに乗っている人がいるからだ。インターンシップを早期選考に使ってはいけないという経団連の取り決めはあるが、そこに属していない中小や外資系には縛りはない。

 水面下で学生を早期選考しており、完全な青田買いではあるが、すべての企業は取り締まれないものだ。特に外資系企業においては日本の経団連の協定は全く無意味になる。

 とはいえ、この就活の一斉スタートのシステムを撤廃して自由化するとなると、学業と就活の両立をどうするかなど、多くの議論が必要になるため、ここではあえて論は深めない。

 昨年末にある優秀な男子大学生が「面接を見てほしい」と練習に来た。何の非の打ちどころもないロジカルな応答ができる人だった。それなのになぜ練習したいのか尋ねると「外資系企業のインターンシップ後の選考に落ちたから」と言っていた。

 これまで約30年、就活を見てきたが、毎年思うのは「落ちて初めて厳しさを知る」学生の多いことだ。その会社を二度受けることは難しいため、実は落ちてからでは遅いのだが、他の企業に生かしていくしかない。

 そういう面では早期選考がいくつかあり、スタートにバラつきがあるというのも、学生には練習になっており、早く自分の欠点に気づけてよいのかもしれない。

 今の時期、面接を受けたことがなくても仕方ない。スケジュール通りに進んでいるのだから焦らないことだ。今はエントリーシート提出に向けた準備をしっかりしたい。

 3月1日の情報解禁日にエントリーシートの受け付けが始まる。情報解禁というのは、企業の新年度の求人情報と選考試験の詳細が発表され、エントリーシートが提示されるという意味だ。だがその「解禁」前にも、就活生がやれること、やるべきことはたくさんある。自己理解を深める作業は当然協定とは無関係だし、企業研究も進められるだけ進めてほしい。

 例えば企業のホームページには顧客用と求人用の2種類ある。顧客用は解禁前でも見られるし、求人用も昨年のものを見られる会社もある。会社の理念が毎年コロコロ変わることはないし、求人内容についても前年と180度変わるということは考え難い。

 解禁日前に準備はいくらでもできる。エントリーシートの準備は面接でアピールする内容だから、面接の準備にもなる。今すべきことに集中しよう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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