知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】受ける会社を絞る前に 「お薦め」は自分で探す 上田晶美(2022/3/8付 日本経済新聞 夕刊)(2022/03/15)


 エントリーシートの添削をしてほしい、と学生たちから多くの要望がくる時期だ。エントリーシートの提出締め切りが目前にあるので、急ぐ依頼が多い。

 文章の添削はもちろんするけれども、果たしてそれだけでいいのか? と内心、心配で仕方ない。エントリーシートを書くと同時に、いやその前に確認してほしいことがあるのだ。

 3月1日に就活が解禁になり、各社の採用選考の情報がオープンになった。企業のホームページやまとめの就活ナビサイトを見て、まずはプレエントリーする。企業説明会もスタートしてきて、いよいよエントリーシートの提出となる。

 エントリーシートが通って初めて、面接に進むので、エントリーシートのできは重大だ。だが、その前に、どこの会社、業界を受けるかについての検討は十分なのだろうか? そこの検討が先ではないか。

 エントリーシートに締め切りがあるということは、それを逃すと、受けられない会社も出てくるのだ。受けるべき良い会社を見過ごしては、それこそ一大事ではないか。

 つまり、志望業界の選定がきちんとできているのかが毎年とても心配になる。選定といっても1つの業界に絞るのではなく、自分の軸や未来のビジョン、過去の体験に沿って、複数の業界にまたがってよいと思う。

 だが、あまりにもバラバラだと、各社の比較検討が難しいし、志望動機をまとめる際にも、四苦八苦することになる。できれば2~3業界をしっかりと調べてほしい。その業界の中の企業をできるだけ洗い出してみる。

 具体的にはどうするかというと、自動車業界を志望していたとして、まさかトヨタだけ受けるという人はいないとは思う。トヨタ以外の会社はどこを受けるのか。自動車業界にはどんな会社があるのか、自動車業界を広く見てみてほしい。

 やり方としては、インターネットの検索機能を使うと手軽である。「○○業界売上ランキング」と検索ワードを入れると、昨年度の売り上げ順位の一覧表が出てくる。これで上位20社くらいをリストアップして、1社ずつ検討し、プレエントリーしていく方法を私は推奨している。

 次に自動車に関連のある業界も見てみたい。自動車は多くの部品メーカーが関わっている。

 その業界をどんな企業が構成しているのか、まず業界全体を俯瞰(ふかん)して見ること。次にその関連業界も同様に調べていく。

 就活ナビに登録していれば、1社を選ぶと、ナビが「お薦め」の企業を案内してくれる。もちろんそこを受けていくのもよいと思うが、ナビのお薦め機能に従ってばかりでいいのだろうか。

 自分が受ける会社だから、見落としがないように締め切りを意識して、全体を俯瞰し、自分で決めていってほしい。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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