2016年の就活から、企業による個別面接は6月1日解禁となり、求人広報は3月1日からと決められた。21年の新卒採用からは経団連がここから手を引き、政府主導という曖昧な形でこのルールは残存する。
それでも求人広報が3月1日開始というルールを就職ナビが守っているため、それが歯止めとなって、早期採用はそれほど多くなっていない。加えて本年は、景気の先行き不安が重なったため、企業の採用熱は盛り上がりに欠ける。
結果、少数の超早期採用企業、3~5月に採用を始める「やや抜け駆け企業」、6月ルール順守企業という形で、近年のトレンドが当面は続きそうだ。それが前回書いたことだ。
このスケジューリングに沿って、企業の採用活動の流れが形作られてきた。過去と比べると、本番採用が2~3カ月先送りとなる中で、企業は何とか学生に接触を試みようと、以下のような動きになるのだ。
(1)インターンシップの複数回開催。夏・秋・冬と3回開催する企業が増加した。
(2)個別面接前に学生を選抜しようと、適性検査を前倒しにする企業が増えた。
(3)同様の理由で、グループ討論など集団選抜を前倒しにする企業が増えた。
つまり、インターン、適性検査、集団選抜をくぐり抜けて本番にたどり着くという、いわば、障害物競走のような体をなしている。このプロセスをどうやって勝ち抜くのか。
まず、インターンシップだが、今さらその対策を書いてもさすがに遅すぎる。ただ、その趣旨は会社説明会でもそのまま通用することだ。なので、今の時期でも十分に生かせるだろう。
インターンシップでも個別説明会でも、そこで目を付けた学生のことを企業は必ず覚えている。そして、本番採用の時に、エントリーシートをじっくり読んでもらえたり、もしくは、早々に書類通過して面接に進めたりする。
こうしたチャンスを得られるからこそ、説明会もインターンシップも参加する意義があるのだ。受け身で黙っているのは、チャンスを無にするに等しい行為と肝に銘じてほしい。
「気になることを聞きたいが、そんなことを聞いたら嫌がられるのではないか」と心配する声を聞く。さすがに「楽をしたい」という意図の質問や「自分勝手な話」は禁物だが、仕事や会社や業界についての真剣な話は、遠慮なく聞き、それに感想まで加えてみる。改善策や自分ならどう関われるか、もしくは、自分の思い描いた職務内容などを口にするのもいいだろう。
口下手でも構わない。立て板に水のキャラよりも、そんな実直なタイプが好きな企業も多い。打席に立ったらバットを振ろう。来た球を見逃していたら、ヒットは絶対に打てない。それがまず第一の必勝法だ。
(雇用ジャーナリスト)