現状の就活ルールでは、企業の新卒採用活動は、3月1日に就職ナビのサイトがオープンし、そこに求人情報を掲載することから始まる。そして、個別面接は6月1日がその開始日、というルールが一応は残存している。この間の3~5月に会社説明会、グループ討論、そして適性検査を実施するのが、1つのひな型となる。
今回は、適性検査について解説をすることにしよう。
適性検査は、算数・国語力を見るものと、基礎的な性格の傾向を見るものがセットとなっているのが基本だ。大手企業であれば、算数・国語については、選抜基準点を設けているケースが多い。
だいたいその目安は、評価が中(適性検査の累積受験者の真ん中)以上だ。上位3分の1などというケースも見かけるが、それは超人気企業などの極少数となる。
算数・国語のそれぞれで出される個別評価と、両方を合計して出される総合評価がある。総合で中評価だったとしても、個別のどちらかが極端に悪ければ落とすという企業が多いだろう。
つまり、算数も国語も標準点以上は取れるように勉強をしておくべきだ。
正直、算数力については10代までにその多くが形成されてしまうと言われている。そのため本当の算数力は付け焼き刃では伸びないのだが、就活の対策本で訓練すれば、記憶したのと同じような問題が出る限り解くことはできる。そんな形で数問の正答を上乗せすれば、中評価まではたどりつけるだろう。
もし、教職員の方がこれを読んでいるなら、対策本は最後の手段であり、本物の算数力をつけさせるために、入学時から数字を使ってものを考えさせる訓練を課してほしい。社会に出てから役に立つこと請け合いだからだ。
国語に関しては、語彙と「てにをは」の使い方で点数がずいぶん上がる。こちらは比較的短期に身に付けられる力だが、だとしても意識的に通常、授業計画の中で鍛えてほしいところだ。
さて、最後に性格検査だ。実はこの検査について、学生や良からぬ就活塾などでは、現実とはかけ離れた話が広まっている。
正直なところ、私が見てきた企業で、性格適性により事前選抜をしている企業はほとんどなかった。こちらは、面接時の質問資料や、入社後の配属時の参考資料などに使われることが多い。
ただし、1つだけ必ず落ちるケースがある。それは「ウソつき」の場合だ。
昨今の性格テストでは、なりすましを見破る機能が盛り込まれている。そこに引っかかり、「ウソつきの傾向がある」と出た場合、企業は大いに敬遠する。だから変に気を遣わず、正直に回答することを心掛けてほしい。
(雇用ジャーナリスト)