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【就活のリアル転載】自己PRが苦手 短所も長所、逆転の発想で 上田晶美(2022/8/2付 日本経済新聞 夕刊)(2022/08/09)


 「自己PRが苦手なんですが、どう組み立てればよいですか」とインターンシップを前にした3年の女子学生から質問を受けた。三大質問の中で、「学生時代に力を入れたこと」であればそのまま体験談を適切にまとめればよいが、自己PRとなると少し身構えるのもわかる。謙虚な人ならなおさらだ。

 自己PRは「私の長所は何々です」と言い始めると比較的話しやすい。そこで「まずは長所を書き出してみましょう」と伝えたところ、「長所が思いつきません。短所ならばたくさんあるのですが」と言う。確かに長所と短所の自己分析を大学の講義やセミナーの中ですると、短所から書き始める人のなんと多いことか。

 そういう人には短所を裏返して考えることを勧めている。例えば「積極性がない」というのは、もしかしたら行動する前にあれこれと考えこんで、タイミングを逃がしてしまうのかもしれない。自分ではそこが残念だと思っているのだろう。けれどもそれは見方次第で、石橋をたたいて渡るタイプで慎重な熟考型ともいえる。社会活動においては必要な資質ではないだろうか。

 社会活動の中で必要な資質は一つのタイプとは限らない。行動力、積極性のある人ばかりでなく、じっくりと検討して戦略を練る人も必要であるし、場面によっては慎重な人の意見も大事である。リーダーだけでなく、人をサポートするサブリーダー的なポジションも必要だ。

 自己PRはキャッチフレーズがあると印象に残るのでよいと書いてある参考書もあるが、それはなくてもかまわないだろう。まずは長所を書き出してみて、それを裏付けるエピソードを話していこう。社会活動に役立つ積極性や行動力など攻めの部分だけでなく、協調性や計画性など守りの部分も長所として評価される。

 ただし「マイペース」というのはどうだろうか。芯がぶれずにかっこよくも聞こえるが、協調性に欠けるきらいがあるので、あまりお勧めできない。

 マイペースと言うよりも、少し言い方を変えて「一度決めたことはやり通す」などの方がよいだろう。見方、言い方を変えれば、与える印象はプラスになる。

 また自己PRと違い、自己紹介をと言われた時には文字通り自分の紹介なので、学業のこととその他の部活やサークル活動について話すのがふさわしい。それもあくまでも長所を話すこと。自分を知ってもらうためだからと言って、はじめから短所まで言わずともよい。

 この先、自分の短所を見つめていても、仕事にはつながって行かないのではないだろうか。自分の長所を生かして、さらにそれを磨いて働いていこう。長所に目を向けていればそのうち、短所は自分でも気にならなくなるかもしれない。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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