知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】8月中盤戦の注意点 規模別に実態見極めを 海老原嗣生(2022/8/2付 日本経済新聞 夕刊)(2022/08/16)


 就活戦線も中盤となった。有名大手企業の採用活動が終わり、焦りや悩みを感じている学生や親御さんも多いのではないか。この時期に、過ちを犯さないよう、いくつかの注意点を書いておきたい。

 まず、CMなどで名前を知っている大企業が今でも採用を続けているケースがまま見受けられる。知名度や企業規模でそうした会社に応募する人は多いだろうが、少し考えてほしい。なぜ、そうした企業はまだ採用枠が充足しないのだろうか。

 考えられる理由は2つ。知名度や企業規模に反して人気がなく、学生が集まっていないか、もしくは、そこそこ学生が来ているが、採用枠が大きくて埋まっていないかだろう。

 後者の場合はさらに考えてほしい。なぜそんなに採用枠が大きいのか。高成長中で人員需要が大きいならばいいが、そうではなく、若年社員の定着率が低く、欠員が多い場合は要注意だ。だから、この時期の「大手・有名」かつ、選考が緩い企業は少し斜に構えて応募した方がよい。

 2つ目は、中小企業を受ける場合の注意だ。まず、企業規模別の就職数を考えてみよう。厚生労働省の雇用動向調査で調べると、従業員数1000人以上の大手事業所への就職が毎年20余万にもなる。これは全就職者の半数近い。

 ただし、この数字は「大卒・院修了」の合計だ。院修了の場合、理系であれば大手メーカーに就職する割合が多く、また、博士課程まで出て大学に残り研究者となる場合、多くの大学は「教職員1000人以上」なので大手事業所の分類に入る。

 こうした院修了の大手就職者を除いて、大卒のみに絞るとその数は15万人程度と思われる。40数万人の大卒就職者の3分の1が大手に入り、残りが中小企業ということになるだろう。

 つまり、中小企業に就職することは、ごく普通のことだ。これが1つ目のポイント。2つ目として、私は100人以上の会社を薦めたい。100人規模になると総務、人事、経理、システム、支社など一通り組織がそろい、大手の「ミニレプリカ」となっている。そうなれば、仕事が合わなかったとき、配置転換で新たなチャンスが得られるだろう。

3つ目。100人未満の会社を選ぶときは、社風や経営者のキャラクターをよく見ること。社内が狭く部署が少なければ、入社後の配転は可能性が少ない。合わない会社に入ってしまった場合、やり直しが効かないのだ。

 ただ、こうした小規模企業は応募者も少ないため、時には「多少合っていなくても」採用となる場合がある。だからこそ注意しなければならない。

 そこで面接では「少し強めに」自己主張することを勧める。それでも採用されるようなら、その会社が「合っている」可能性が高いからだ。

(雇用ジャーナリスト)


     

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