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【就活のリアル転載】面接は笑顔で 相手の心のドア開けよう 上田晶美(2022/8/23付 日本経済新聞 夕刊)(2022/08/30)


 就活の面接講座で「笑顔で話す練習」をした際、「面接はまじめな場なのに笑ってもいいんですか?」とある男子学生に質問された。そんな質問を受けたのは初めてだった。真剣な場面には、真剣な顔で臨むべきではないかと思ったようだ。

 では真剣な顔とはどんな顔なのかと、実際にやってみてもらった。いわゆる真顔である。かなり固くこわばった表情で、むしろ怖い顔に見えた。このように真顔とは本人が思っている以上に怖い顔になっていることが多い。もちろん個人差はあるが、動画に録って自分で見てもらい、どういう印象か確認してもらった。自分が思っているような表情ではなかったようだ。

 そもそも面接に臨む際、緊張はするだろうが、イヤイヤ行くのではないだろう。面接に呼ばれたということは、書類選考や筆記試験などに合格して、第一関門は突破しているのだからうれしいはずだ。そんな喜ばしい気持ちを表情にも出して伝えるのが面接の笑顔だと思う。

 小手先の作り笑顔で印象を良くしようというのではない。この場に来られてよかったという気持ち、面接に臨む意欲を伝えるのならば、自然と笑顔になるのではないか。ところが、緊張しすぎて表情がこわばったり、真剣すぎて真顔になったり、逆に怖い顔で意欲が伝わらないともったいないので、笑顔で話す練習をするのだ。

面接では第一印象が重要になる。なぜなら、面接は短い時間で設定されているため、第一印象の占める割合は大きくなるからだ。うまく滑り出さないと話がかみ合わず、本領が発揮できないまま、時間だけが過ぎていくことになる。

 それを私はよく「人の心にはドアがある」からだと伝えている。初対面の人に対するとき、はじめから心のドアを開けて待っている人は人事担当者といえど少ないだろう。人には警戒心というものがある。その心のドアを開けるのは第一印象の好感度ではないだろうか。良い第一印象で相手の心のドアが開けば、その後はスムーズに話が進んでいくというものだ。

 逆に第一印象が良くないと心のドアは閉まったままで、いくら考え抜いた志望動機を話してもはね返されてしまい、相手の心には届かない。そのままお互い理解し合うことができずに時間切れとなっては残念すぎる。

 第一印象はもちろん笑顔だけではない。面接ではドアをノックして入る、お辞儀をするなどの動作もあり、それらの一連の流れとしての初めのあいさつと思えばよいだろう。なので面接講座では笑顔であいさつするだけでなく、声も含めた一連の動きを含めた練習をしている。

 第一印象や笑顔だけで採用が決まるわけではないが、面接をスムーズに進める鍵になっていくと思って、まずは笑顔で相手の心のドアを開けよう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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