知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】ジェスチャーの活用法 緊張ほぐし思い伝える 上田晶美(2022/9/13付 日本経済新聞 夕刊)(2022/09/20)


 8月にオーストラリアの海外留学から帰国してわずか1週間という大学3年生たちの就活講座を担当した。海外での自由な学園生活から、日本の規律正しい生活に戻ってきて息苦しさを感じている学生たちがほとんどだ。そんな中、面接の練習をするのはさらに気が重いものであろう。そこを奮起して参加しただけでも褒めたいところだ。留学経験を無駄にせず就活に生かすためにも、一緒に練習しようと呼びかけた。

 面接は話す内容が一番大事だが、当然伝え方にも左右される。担当した講座は内容と伝え方、両方を準備しておくためのものである。伝え方についてはアナウンサーのような特別な職業でないのなら、立て板に水のごとく話す必要はないが、少し練習する方がよい。本番では誰しも緊張するものなので、その中でも自分の言いたいことをしっかりと伝えるためだ。

 緊張をほぐす方法は人によっていろいろあるだろうが、私は準備がすべてだと考えている。自己PRなど三大質問への答え方、それへの質問について予想しておく。それらを口に出して話してみて練習し、慣れるとよいと思う。

 面接の個人練習で、ある女子学生が話しながら手がもじもじしていることに気づいた。そこで「英語で話してみて」と言うと、少し考えた後、元気よくジェスチャーも交えて活発に話し始めた。英語で話す時には無意識に言葉をジェスチャーで補いながら伝えているのだ。表情も生き生きとして人が違うようだった。

 「ではそれをもう一度、ジェスチャーはそのままで日本語で話してみて」と言うとびっくりしていたが、それなら簡単とばかりに日本語でのびのびと伝えてくれた。

 他の学生から「ジェスチャーをしていいんですか?」という声が出た。面接というと、きちんとして真面目に話さなければならないという先入観があるらしい。面接は尋問ではなく、会社側と学生がお互いをよく知るための会話だ。笑顔が基本と前回書いたが、ジェスチャーもあっていい。

 ジェスチャーをすると、全身で思いを伝えることができ、相手に気持ちが伝わりやすくなる。堅苦しさが取れて、自分の気持ちをほぐす効果もあるように感じる。ジェスチャーが苦手な人も中にはいると思うので、数字を言う際に「それには二つあります。一つは」と話すときに指で示してもいい。だんだんに慣れていくと思う。

 ただしあまり手が動きすぎると落ち着きのない印象になる。時々、手を膝の上に置くホームポジションに戻すことを忘れないでほしい。

 英語を話す時と日本語を話す時とでまるで別人のようになる人も時々いる。ジェスチャーの効果を使って、自分の緊張もほぐしてほしい。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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