知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】インターンどう選ぶ 短期か長期か目的別に  栗田貴祥(2022/9/27付 日本経済新聞 夕刊)(2022/10/04)


 インターンシップの応募率、参加率は年々上がっている。インターンシップとは就業体験を通じて業界や企業、仕事や職場への理解を深めることができるプログラムのことだ。その実施期間は1日以下のものから、1カ月以上にわたる長期のものまで企業によって様々である。

 私が所長を務める研究所が実施した2023年に卒業見込みの大学生への調査では、実施期間が1日以下と2日以上のものを区別して調査しているが、1日型も含めて参加経験がある学生は全体の83.2%、参加者の平均参加回数は9.93回だった。ただその内訳を見てみると、「1日以下」のプログラムが占める割合は87%であり、短い期間の参加が大半を占める。

 実施期間別に、参加学生に実際の業務を行う「就業体験」が含まれていたかどうかを聞いたところ、1日以下のプログラムでは25.4%、5日以上~2週間未満では52.5%という結果であった。期間の短さに比例して就業体験が含まれる割合が低くなっていることから、1日以下では、学生が就業体験を得られる機会は少ない様子がうかがえる。

 では、インターンシップというからには長期間のプログラムに参加しなければ意味がない、ということなのか。双方のプログラムに参加した学生の声からは、それぞれの意義が読み取れる。

 参加学生に対して「働くこと自体のイメージを具体的に持つことができたか」「参加企業での入社後の活躍イメージを具体的に持つことができたか」を聞いてみると、1日以下のプログラムのみに参加した学生で「そう思う」と答えた割合はともに59.2%、2日以上だと7割といずれも半数を超えている。

 複数の日数参加したほうが、より学生の意識づけに影響を与えているが、業界や企業について「広く知る」うえでは、1日以下のプログラムにも参加する価値があるといえるだろう。

 一方で、参加者からは「理解を深めるには1日では不十分」「実務を経験したほうが企業の仕事を理解しやすい」という指摘もあった。

 自身の力がその仕事で通用しそうかどうかを見定めたり、一緒に働く社員の働き方に触れる中で職場との相性を見極めたりと、「深く知る」点では長期のものを勧める声が強い。日数に限らず、インターンに参加する際には「その体験を通じて何を知りたいのか」、自分なりの目的を持って参加することが大事になる。

 志望先の選択肢を広げるために幅広く業界・企業を見たいのか、企業をある程度絞ったうえで、社風や働き方、職種とどの程度自分がマッチしそうか比較したいのか。

 知りたい情報の深さに応じて、これから開催されるプログラムへの参加の是非を検討していってほしい。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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