大学4年生で内定をまだ得ていない男子学生から相談を受け、面談をしたら「不合格になる理由はこれかな」という点がわかった。なんとなく偉そうな感じで、まるでこちらが面接されているような立ち位置になってしまうのだ。
私は学生とフランクに接する方ではあるが、いくらなんでもかなりの年齢差があるので、横柄にされるとだんだん居心地が悪くなってくる。うなずいたりするという反応は良いのだがどうも偉そうで好感が持てない。
本人は故意にそうしているのではないにしても、面接であれば、次には呼びたくないグループに入れられそうだ。なぜなのかよく観察していると、あることに気づいた。彼のあいづちが上から目線になっているのだ。
「なるほど」というあいづちを彼はよく使う。「なるほど」は日ごろ、何の気なしに多くの人がよく使う言葉だ。テレビの対談などで、インタビュアーが「なるほど」とあいづちを打つシーンをよく目にする。
対談であれば、対等な関係性なので、かまわないと思う。就職の面接では必要以上にへりくだることもないのだが、一応、学生の方が若いのだから、上から目線では好感は持たれないであろう。「なるほど」は評論家のようでもあり、どちらかというと、上から目線と思われるあいづちである。面接の場面ではあまりお勧めできない。
これと並んで「たしかに」というのもよく聞くあいづちだ。やはり評論家的であるし、相手に共感はしているものの、対等もしくは上から目線の言葉ととらえられる。
他にも何気なく使っていることばで、敬語とは逆に、上から目線の言葉は数多くある。「ご苦労さま」とか「了解です」などがそうだ。面接では使わないかもしれないが、若手のうちはそれぞれ「お疲れさまです」「承知しました」、または「かしこまりました」と言い換えた方が無難と思われる。
こうしたちょっとしたあいづちの印象の積み重ねが、面接の印象を作り上げていく。第一印象でせっかく明るくあいさつができたとしても、あいづちが横柄だと受け止められて損をしないでほしい。
では、どのようなあいづちが適切なのか。学生であれば、「はい」と元気よく言っていれば間違いない。「はいはい」と重ねるのは良くないし、「はーい」も間延びしていていただけない。「はいっ」と終わりに小さな「っ」が入るくらいの歯切れの良さが好ましい。若さを強調というのでもないが、フレッシュさは大事である。
テレビのアナウンサーのことば遣いは正しい標準語だが、相手との関係性、立場を考えた上で見習うようにしたい。またそういったあいづちが適切だと、社会人としての基礎ができていると見なされるのではないだろうか。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/