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【就活のリアル転載】インターンシップの選考 落ちても採用の門戸広く  栗田貴祥(2022/11/29付 日本経済新聞 夕刊)(2022/12/06)


 就業体験を通じて仕事内容や企業風土を理解し、これからのキャリア選択のヒントを得る。インターンシップは本来、企業と学生の相互理解を深める場だ。ただ、その受け入れ数にも限りがあることから、選考を行う企業も少なくない。

 このインターンシップの選考結果が、本選考を受けるかどうかの学生の意思決定に大きく影響していることが、リクルート就職みらい研究所の調査から見えている。

 2020年の大卒生を対象に「インターンシップの選考に通過しなかった企業の採用選考を受けなかった経験」を聞いたところ、77.9%が「ある」と回答している。 つまり「インターンシップで落ちてしまったので、本選考を受けるのをやめよう」と考えた学生が8割近くいた、ということになる。

 「インターンシップの選考結果が、採用選考に影響があると思うか」では、64.3%が「影響があると思う」と回答。ただ、その理由は「ある」と答えた学生の56.5%が「何となく自分がそう思っているから」。漠然としたイメージから、インターンシップの選考に落ちると、本選考は受からないと解釈していそうだということが分かる。

 では、実際の採用数において、その企業のインターンシップに参加した学生の割合はどれくらいなのか。22年大卒者向けにインターンシップと採用を実施した503社に聞いたところ、インターンシップ参加者は約3割にとどまった。7割はインターンシップとは関係のないルートでの採用ということだ。

 もちろん、インターンシップ応募時以降に業界や企業の研究、自己分析が進み、本選考ではまったく違う領域の選考を受けたという学生もいるだろう。

 しかし、もし、インターンシップ先企業に興味や意欲がありながらも、「インターンシップに落ちてしまったから難しいだろう」という理由で選考を受けなかった学生がいたとしたら、学生と企業の双方にとって貴重な機会損失につながっているといえる。

 企業を対象にした別の調査では、インターンシップを行う目的として最も高かったのは「仕事を通じて、学生に自社を含め業界・仕事の理解を促進させる」で89.4%。「採用に直結したものとして実施」は30.0%だった。企業側はより丁寧にインターンシップの意図を発信し、その選考を通過できなかった学生に対しても、採用の本選考の段階で「改めてぜひ受けに来てほしい」というメッセージを繰り返し伝えていく必要がある。

 インターンシップの選考に漏れたことで「周りの学生より活動が遅れてしまう」と不安になる学生も少なくない。企業の丁寧なフォローが、より多くの学生に安心感をもたらし、出会いの機会を生む大事な一要素になるといえる。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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