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【就活のリアル転載】学生時代の経験 得たことを伝えよう  栗田貴祥(2022/12/20付 日本経済新聞 夕刊)(2022/12/27)


 就職活動で学生時代のどんな経験から自分の強みや特徴をアピールすべきか。今後のエントリーシートの作成や面接対策に向けて、考え始める就活生が増えてくる時期かもしれない。

 リクルート就職みらい研究所は2022年新卒者を対象とした採用活動の振り返り調査(『就職白書2022』)で、企業が採用基準で重視する項目と、学生が面接などでアピールする項目についてアンケートを実施した。その結果、企業側のトップ3は「人柄(94.5%)」「自社への熱意(80.7%)」「今後の可能性(68.7%)」だったのに対し、学生が企業にアピールしたのは「アルバイト経験(51.4%)」「人柄(36.1%)」「所属クラブ・サークル(26%)」だった。

 企業が重視する「人柄」「熱意」「可能性」の中には、アルバイトやサークルの経験を通じて見えてくる学生の特性ももちろん含まれる。ただ、企業が「アルバイト経験」を重視すると回答した割合は27%、「サークル」は7.9%にとどまり、学生との間に大きなギャップがある。

 その背景として、企業が見ているのは、必ずしも活動内容や成果そのものだけではないという点が挙げられる。取り組んだことの内容そのものだけではなく、その経験から何を学んだのか。そこに、その学生ならではの性格の特性が現れるからだ。

 一方、学生側の視点を考えると、アルバイトやサークルを通じて取り組んだ内容や、その成果や実績を伝えなくてはいけないという思いがあるのではないだろうか。実際に、「自分には、アピールできるような輝かしい実績がない」と話す学生も少なくない。

 コロナ禍であらゆる活動が制限された学生生活を送り、ますます自信をなくしている学生もいるのではないだろうか。企業の人事担当者からは「アルバイトやサークルでリーダーを任されたというエピソードがすごく多い」「何か、派手であったり華々しいエピソードや成果を語らなければ価値がないと思っているのでは」といった声を聞くことも少なくない。

 企業は「なぜそれに取り組もうと思ったのか」「そこから何を学んだのか」を見ている。アルバイトやサークル、部活やゼミのテーマなど数ある選択肢から、その活動を選んだ理由に、学生が大事にしている価値観や志向、強みなどの「人柄」が現れる。そして、それらの経験から学ぶ姿勢に、これからの仕事で成長につながる「熱意」や「可能性」を感じることができるのだ。

 社会人になるとは、仕事を通じて価値を提供する側になるということ。自分はどんな強みを持ち、仕事を通じてどう発揮、貢献できるのか。過去に経験したことから自分の「人柄」を伝えられるように、1人で考え込まず、友人や家族などに客観的な意見を求めてみるのもいいかもしれない。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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