知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】どうとらえる 社会人の目意識、等身大で 上田晶美(2023/1/24付 日本経済新聞 夕刊)(2023/01/31)


 私の長所は課題解決力です」と男子学生が就活面接の練習に来て自己PRを話してくれた。「どんな課題を解決したのだろうか」と、エピソードを聞きたくなった。まずは結論を最初に話し始めて次に説明していく展開か、どんな社会課題に取り組んだのだろうかと、期待が膨らんだ。

 その説明は「サークル活動で部員が減ってしまった理由を調べ、増やすためにオンラインで説明会を開くようにした」ということだった。新人勧誘は確かにどのサークルにとっても課題であり、彼としては頑張って解決した経験だったに違いない。それには何ら問題はないのだが、なんとなく肩透かしな印象を受けるのは私だけだろうか。

 「課題解決力」を自分の長所として挙げる学生はここ10年で増えてきた。これはおそらく、2006年に経済産業省が掲げた社会人基礎力の3つの能力の一つに「考え抜く力」があり、その要素として「課題発見力」と「計画力」が盛り込まれているからではなかろうか。

 経産省の資料をよく読むと、課題発見力は「現状を分析し目的や課題を明らかにする力」、計画力は「課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力」となっている。

 学生たちは大学のカリキュラムに組み込まれているキャリアデザインの授業で、この3つの能力とその詳細である12の要素について学んでいるのだと思われる。

 課題というのはスケールの違いは様々なわけだが、社会人が「課題解決力」と聞くとサークルやアルバイトなどではなく、もっと大きな社会課題を予想する。ビジネスというのは大なり小なり、お客様の課題解決のための活動である。その活動の中にも課題は山積している。それに日々取り組んでいる人たちに「私は課題解決力がある」と言い切るのは、かなり大風呂敷になるのではないかと危惧する。

 面接官の期待値を高めすぎると、エピソードの内容次第では逆に相手をがっかりさせることになってしまう。この場合は「私の長所は課題に取り組む姿勢です」くらいであれば、サークルの新人勧誘の努力に見合う言い方になるのではないか。または「私はサークルの課題解決に力を注ぎました」というのもいいだろう。やってきたことは十分に評価されるものなので、自信を持って話してほしい。

 他にも自らハードルを上げて失敗しやすいのが「私の長所はコミュニケーション力が高いことです」というもの。「コミュ力が高くてその程度?」と思われては損をするし、コミュ力はあえて言わなくても話していればわかるからだ。

 また「リーダーシップがあります」というのもどうか。「文章を書くのが得意です」などというのも、比較対象が学生レベルなのであまり好まれない気がする。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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