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【就活のリアル転載】企業の採用意欲 24年卒、11年卒以降で最高  栗田貴祥(2023/1/31付 日本経済新聞 夕刊)(2023/02/07)


 2024年大卒予定者の就活準備がいよいよ本格化してきている。リクルートワークス研究所が実施した民間企業における「採用見通し調査」で見えてきたのは、企業側の採用意欲の高まりだ。

 23年卒と比較した新卒採用数を聞いたところ、24年卒は「増える」と回答した企業の割合が15.5%だったのに対し、「減る」は3.6%で、「増える」から「減る」を差し引くとプラス11.9ポイントとなった。23年卒の同調査でもプラス7.0ポイントと採用意欲は増していたが、24年卒はさらに伸びたことがわかる。

 従業員規模別に見ても、すべての規模において「増える」が「減る」を上回っている。採用意欲が最も高い従業員規模は5000人以上の企業で、プラス21.8ポイント。300~999人の企業ではプラス14.8ポイントとなり、大企業を中心に採用への積極性が読み取れる。

 業種別でも、すべての業種で「増える」が「減る」を上回った。コロナ禍の反動もあり、24年卒者への採用意欲は、比較可能な11年卒以降で最も高くなっている。

 新卒採用が激化する中、採用戦略として初任給の引き上げを検討する企業も少なくない。引き上げに向けて「既に取り組んでいる」と回答した企業は27.8%。「今後取り組む予定である」企業は27.1%と、計54.9%の企業が初任給の引き上げを実施、もしくは予定している。これは、23年卒の44.5%から10.4ポイントも増加した数値だ。

 その一方で、23年の新卒採用者の充足度(22年10月1日時点)は78.5%と、14年卒以降で最低になっている。企業側は計画通りには採用できておらず、学生優位の状況を表している。

 ワークスタイルやキャリアの選び方など、個人の価値観は多様化している。「ジョブローテーションで幅広い仕事を経験したい」という人もいれば、「専門領域で長くコツコツとスキルを磨きたい」という人もいる。一律のキャリアパスや人材育成手法では個人のニーズに寄り添えなくなっている。

 企業は採用手法や採用ルートを複数用意したり、入社前に初任配属先を確約したりするなど、従来のやり方や慣例にとらわれることなく、一律的・画一的な人事施策から脱却する必要に迫られるだろう。

 学生側から見れば、企業の採用意欲が旺盛なこの状況は、歓迎すべき追い風といえるかもしれない。ただ、「自分はどんな生き方をしたいのか」を内省せずに安直に仕事選びをしては、入社後の違和感につながってしまうだろう。

 より納得感のある生き方を選択するためにどう働きたいのか、自分なりの選択基準を磨き込みながら、納得いく就職先に合える学生が増えていってほしいと思う。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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