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【就活のリアル転載】グループ討論に正解は 結果より議論の過程重要 上田晶美(2023/3/7付 日本経済新聞 夕刊)(2023/03/14)


 「グループディスカッションによる選考には正解があるんですか?」と学生に聞かれた。あるものもあるし、特にない場合もある。正解がなくても企業側はある程度のガイドラインを設定しているだろう。正解に近い方が高得点にはなるが、だからといって、正解を出したグループだけが受かるというものでもない。一言で言うならば、結果よりも議論の過程が見られる選考方法だ。

 だからこそ、いかに発言するかが評価のポイントになる。発言しなくては話にならない。その発言も多ければ多いほど良いというものでもなく、1人でしゃべりすぎるのはチームワークが取れない人と見られ、むしろ減点される。

 ではどのくらいの回数が適切なのか。30分の討論で6人のメンバーならば、単純計算で1人の持ち時間は5分と考えられる。1回の発言が約1分だとしたら5回は発言すると計算しておくと目安になると思う。それだけでも、始まる時の緊張が少しほぐれるのではないか。

 またディスカッションの出題には4つの類型があることを知っておくと、さらにスムーズに話し合いに臨めると思う。フリースタイル型では1つのテーマが与えられ、それについて自由に話し合っていく。業界特有の課題について考えるものと、一般的なものがある。

 例えば旅行業界で「今後のインバウンド需要の展望について」などがテーマならば、事前に業界研究をしていないと話し合いに加わりづらい。一般的なものは「もう一度学生生活が送れるとしたら何をしたいか」などである。

 2つ目はインバスケット方式。かごの中にゴチャゴチャと入っているいくつかのアイテムを選び出すかのように、複数のアイテムの優先順位を付けていく問題だ。

 例えば「砂漠に不時着した飛行機から持ち出した地図、鏡、パラシュートなどをどんな順番で使用してサバイバルするか」というもの。緊急度だけでなく、重要度も考慮することがポイントになる。これには正解がある場合が多い。

 3つめは簡易的なディベートで「AかBか」の話し合い。「外国人に日本の良さを紹介するなら富士山か京都か」などだ。これには正解はなく、AとBを推すチームを交代して再度話し合うこともある。

 4つ目はゲーム性の高いもの。レゴブロックを使って店舗や車体を作ったり、折り紙で高いタワーを作ったりしてチームごとに競う。勝ったチームが良いというよりも、まさしく作り上げる過程を見ている。黙々と折り紙を折っていてはダメだ。

 どれも話し合いに積極的に参加し、成果物をまとめていく過程が重要になる。できれば仲間と時間を取って事前に体験しておくのがよいだろう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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