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【就活のリアル転載】企業の丁寧な情報開示 学生の志望度向上要因に  栗田貴祥(2023/2/21付 日本経済新聞 夕刊)(2023/02/28)


 いよいよ2024年大卒予定者の就職活動が本格化する。企業の採用意欲が高まり学生優位となりつつある今、学生の企業への志望度はどんな要因で高まるのだろうか。リクルートマネジメントソリューションズが行った「2023年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」では、「就職活動中の志望度向上にとくに影響が大きかったこと」についてアンケートを実施した。

 もっとも大きな要因として挙げられたのが、「自分がこの企業で働くイメージを持つことができた」の40.2%で、前年に引き続き1位だった。次いで「就職先として自分に合っているかを検討するのに有効な情報が得られた」(30.6%)、「ホームページやパンフレット、説明会等企業理解のための場や機会が多くあった」(26%)と続いている。

 これら上位の要因に共通するのは、企業に関する情報を十分に得られるかどうか、という点である。学生が求めているのは丁寧な情報開示とも読み取れる。学生に働くイメージを持ってもらうためには、各企業は自社の強みがどこにあり、どんな人材にきてほしいのかに加え、訴求する内容や情報の伝え方を整理、設計していくことが大事になるだろう。

 同調査では「最も志望度が上がった社員とのやりとり」について、自由記載による声も集めている。そこでは、具体的な情報提供例として「仕事のやりがいだけでなく大変なことも話してくれた」「良い部分と悪い部分の両面から話してくれた」との意見が寄せられている。

 学生に寄り添うスタンスへの好意的な声も多い。「フィードバックを通して、自分の性格や長所、何に向いているかを理解してくれていると感じた」「自分の良さを、深掘りして引き出してくれた」「逆質問に丁寧に答えてくれた」などだ。

 逆に、志望度が下がったやりとりには「高圧的で上から目線の対応」「会社の悪いところを見せないようにしていた」「質問に対してあいまいな表現でかわされた」などがある。

 学生は、企業が一人ひとりの学生にどう向き合っているのかをシビアに見ている。その姿勢から、入社後の企業と個人の関係性を感じ取り、働くイメージにつなげているともいえるだろう。

 学生の経験や考え方を尊重し、就活を通じて学生のキャリア支援につながるような情報提供やコミュニケーションができれば、志望度向上にもおのずとよい影響が表れるとも考えられる。仮に採用につながらなくても、企業自体のファンになってくれることは長期的に大きな価値になるだろう。

 学生は、企業が発信する情報をじっくり精査しながら、自分らしく輝ける可能性が高い仕事や職場をしっかりと見定めていってほしい。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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