今年、新入社員研修の講師をした会社で、入社1カ月の新入社員80人に次の質問をしてみた。「もし大学3年生の時に戻って5月にすべきことをアドバイスできるとしたら、何と言いたいですか」
すると多い順に、「自己分析」「インターンシップ」「企業研究」という答えだった。自己分析についてなぜかと詳しく聞いてみると、ある男性が「就職活動が初めはうまくいかなかったけれども、一度立ち止まって自己分析をしたら、そこからうまくいくようになったので初めにしておけばよかった」と話してくれた。
一口に自己分析といっても内容は様々考えられるが、どんな分析なのか。その内容を聞くと「自分の強み、弱みを洗い出すこと」だそうだ。
自己分析は就職活動のスタート時にまず手を付けるものとされる。だが、範囲が大変広く「どこまでやればいいのかキリがない」と、自己分析の沼にはまってしまう人もいる。
自分の内面を深く掘り下げていくのもよいが、就活という目的からズレないように注意してほしい。就活の中で自己分析をする目的は2つあり、志望業界を選定するためと、自己PRをまとめるためだ。
彼が言うように自己分析の中で一番大事なのは「自分の強みを認識すること」だと私も思う。自分の強みを生かせる業界を志望業界にしていくと就活は進めやすい。
強みというのは、性格的な長所に加えて、学生時代の実績も入るだろう。学業やアルバイト、サークル活動で経験してきたことは強みといえる。次にそれを自己PRとして面接などで会社に伝えていく。
インターンシップについては2025年大卒予定者から制度が変わった。インターンシップの学生情報を採用選考に連携させてよいと位置付けられたため、前年以上に過熱していくことと思われる。中でも夏のインターンが中心となるため、3年生の今の時期からがスタートであり、実質的にそれが就活のスタートとも考えられる。
インターンシップの本来の役割は企業研究にある。つまり、企業研究もこのインターンシップでできるわけだ。
実はそれだけでなく、インターンシップは自己分析にも役に立つものだ。人はいろいろな側面を持っているが、働く現場を知ることで、初めて自分の何が強みなのかがはっきりしてくるのではないか。インターンシップで職場を体験し、働く人たちを間近に見て、自分の適性についてじっくり考えてほしい。
つまり3年生はこの時期にインターンシップに行けば、企業研究だけでなく自己分析も一挙にでき、実質的に就活が進むというわけだ。まずはインターンシップに申し込み、一歩踏み出そう。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/