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【就活のリアル転載】変わるインターンシップ 要件定義、目的持ち参加を  栗田貴祥(2023/6/13付 日本経済新聞 夕刊)(2023/06/20)


 2025年大学卒の採用活動からインターンシップなどの考え方が大きく変わり、4つに類型化された。これまでのインターンシップは「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」として、明確な要件を示されることなく幅広く実施されてきた。

 しかし25年卒以降、インターンシップと称して実施できるのは「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」および「高度専門型インターンシップ」の2類型のみとなり、実施に向けては一定の要件が必須となる。

 変更の経緯としては、経団連と大学関係者による「産学協議会」が学修機会を損なわずに、学生の自律的なキャリア形成支援を実現する取り組みの実施を求めて22年4月に報告書を発表。同年6月に文部科学省、厚生労働省、経済産業省の3省合意により「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」が報告書の内容も踏まえながら改正された。

 これにより、インターンシップ参加の目的は「就業体験を通じて、自らの能力を見極める」ことと再定義された。新たなインターンシップに限り、企業はそこで得た評価などの学生情報を3月以降は採用広報活動に、6月以降は採用選考活動に活用できるようになったのである。

 一方、単日開催のイベントや説明会はインターンシップではなく「オープン・カンパニー」に、大学及び一部の企業が社会的責任の一環として行ってきたキャリア開発プログラム等は「キャリア教育」と名称が変わる。そこで取得した学生情報は採用活動に活用できず、インターンシップとの違いは明確になっている。

 ではインターンシップにはどのような要件が定められているのか。「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」では、以下の5点が定められている。

 (1)実施期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てる(2)職場の社員が学生を指導し、学生に対しフィードバックを行う(3)汎用的能力活用型は5日間以上。専門活用型は2週間以上とする(4)学業との両立の観点から、夏休み、冬休みなどの長期休暇期間に行う(5)プログラム概要や実施期間、就業体験内容などの情報を募集要件に記載する、といったことだ。

 こうした要件が整理されたことで、学生はインターンシップを通じて一定期間の就業体験を積むことが可能となり、自分に合う職場か、学んだことを生かせる環境かをより見極めやすくなるだろう。

 業界を幅広く見て選択肢を広げたいのなら「オープン・カンパニー」を、業界や企業を深く知り適性を見極めたいのならインターンシップというように、学生の皆さんは自分らしく輝ける1社に出合うために、しっかり目的を持って参加することが大切になるだろう。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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