知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】「経験」への光の当て方 チームワーク力大切に 上田晶美(2023/6/27付 日本経済新聞 夕刊)(2023/07/04)


 「まだ内定がないのは、昨年、インターンシップに参加しなかったことが敗因だと思います。アルバイトにかまけている場合ではなかったと後悔しています」。大学4年生の男子からの相談だ。

 今年の4年生の就活はそろそろ大手企業の内定が出そろい、早くも終盤という様相を呈しているので、焦るのも無理はない。彼が言うように、インターンシップ参加は年々重要度が増してきている。今年の4年生(2024年卒)はインターンシップに続いて実質的に「早期選考」を行い、早期に内定を出すというスタイルが横行したため、内定がさらに早まっている。

 そんな実態もあり、25年卒からは経済産業省、文部科学省、厚生労働省の3省合意により、インターンシップ制度の見直しが行われた。インターンシップについては2つの類型を定め、学生情報を本選考に利用でき、実質的に早期選考を認めるコースができた。インターンシップは大きな曲がり角を迎えたといえる。

 さて、彼の相談だが、学生時代の経験を聞くと、1年生の入学時がコロナ禍でのスタートだったため、サークルに入る機会を逸し、ゼミにも入っていない。やってきたことは電話営業のテレアポのアルバイトが中心。いわゆるガクチカは彼の場合、アルバイト経験になる。

 アルバイト経験も貴重ではあるが、あまりアルバイトの話ばかりを展開しても「そんなに頑張ってきたのなら、そのままその会社に入ったらよいのでは」と思われる危惧もある。

 とはいえ過去の3年間を悔やんでばかりいても仕方ない。あとは限られた経験にどう光を当てて話すかということだ。はじめはアルバイトの成果として「テレアポのアルバイトで工夫して次第に成績を上げていった」ことを話していた。努力していかに成果を出したか、ということが中心だった。

 その経験を、チームワーク力の方に光を当ててみてはどうかと「チームの成績を上げるためにどんな努力をしたか」について聞いてみた。先輩の応対のコツをまとめて全員で共有したり、個人としては、いかにお客様の要望を聞いて聞き上手になっていくかに注力したりしたといった工夫があったという。それらをまとめて、チームで目標達成に向かって努力した経験として話すようアドバイスした。

 一人で努力できる能力や突破力も大切だが、企業活動は人とのかかわり方やチームワーク力がまずは大事になる。同じ経験も光の当て方で、違う長所が見えてくるものだ。

 コロナ禍でチームで活動することは少なかったことは否めないが、その中でもどのように人とのかかわりを持ったかをアピールしていこう。25年卒の大学3年生のみなさんは今からインターンシップに真剣に取り組もう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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