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【就活のリアル転載】採用選考巡るすれ違い インターン落選でも機会  栗田貴祥(2023/7/4付 日本経済新聞 夕刊)(2023/07/11)


 インターンシップはいまや、就職・採用活動に向けた重要なプロセスの一つとなっている。リクルート就職みらい研究所による2024年大卒予定者を対象にした就職プロセス調査では、23年3月時点でインターンシップ等へ参加した学生は93.6%と9割を超えた。参加時期は卒業年次前年の8月が63.1%と最も高く、次いで同9月が52.1%となった。夏休みを活用してインターンシップに参加する学生の多さがうかがえる。

 プログラム期間別にみると「1日以下」のプログラムが89.7%と大半を占め、「2日以上~5日未満」が8.4%、「5日以上」は1.9%にとどまる。

 実際に参加した学生に「その仕事に就く能力が自らに備わっているかどうかを見極めることができた」かを聞いたところ、プログラム期間が長いほど「あてはまる」と回答した割合が高かった。1日以下のプログラムでは、能力が通用するかどうかの見極めが難しいという課題が浮かび上がる。

 応募したきっかけで最も多い理由は「業種理解を深めたいと考えた」(78.5%)だったが、前年からの増加幅が最も大きかったのは「採用選考に有利に働くと考えたから」。ただ、企業の23年卒の採用実績データを見ると「採用数における自社インターンシップ等の参加者の割合」は27.0%であり、内定獲得のためにインターンシップ等への参加が必須とはいえない。

 それでも、「インターンシップの選考に通過しなかったら、本選考も難しいのではないか」と考える学生は一定数いる。

 20年大卒生への調査では、「インターンシップの選考に通過しなかった企業の採用選考を受けなかった」経験がある学生は77.9%だった。「インターンシップの選考結果が、採用選考に影響があると思う」と答えた学生は64.3%に上ったが、その理由の大半は、「何となく自分がそう思っているから」(56.5%)。

 インターンシップ選考を通過できなかったから本選考も通過しないと思い込み、応募を控える傾向が見てとれる。インターンシップと採用選考は別物と考える企業も多いため、あらぬ誤解が生じている可能性がある。

 25年卒以降は「インターンシップ」と呼ばれるプログラム内容に要件が定められる。所要日数を5日間以上とし、そのうち半分以上の日数を就業体験に充てなくてはならないなど、インターンシップのあり方が明確になる。現場社員の協力が不可欠になるため、インターンシップ実施社数やプログラム数とともに、参加できる学生数が限られる可能性がある。

 企業は採用活動における情報開示を一段と丁寧に行うとともに、学生の皆さんには、インターンシップへの参加の有無にかかわらず、自分が希望する企業への応募の機会は積極的に活用してほしい。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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