「音楽業界に進みたいと思っていますが、人気企業で難関だとわかっています。何か方法はありませんか」と大学2年生が相談にきた。まだ2年生なので、いろいろとやりようはある。
真っ先に浮かぶのはインターンシップに応募し、合格して参加することだ。数年前のことになるが、ある音楽業界の大手配信会社のインターンシップに参加した男子学生にアドバイスをしたことがある。難関のインターンに合格できたのは、自分でデザインして持って行ったCDジャケットの評価が良かったのではないかということだった。5日間のインターンでは、実際にCDを制作する過程を体験することができ、ますます希望度は増したそうだ。
彼がインターン期間中に得た情報によると、その会社は新卒は3人採用しているが、毎年そのうちの1人はインターンシップに参加した学生が合格しているという。
通常の採用選考では面接は多くても3回。その前に書類や筆記テストなどもあるが、面接は長くても1時間くらいのものだ。1時間の面接を3回やって把握できることと、1日8時間×5日間のインターンシップで見えることは大きく違うだろう。
就活で何万人も応募する音楽会社となるとインターンシップの倍率も高そうだが、少しは近道になることは間違いない。残念ながらその彼は採用の本選考には残れなかったが、インターンに参加したことで納得できたという。その会社は中途採用もあるので新卒ではIT(情報技術)業界に進んでいった。
音楽業界以外にも例えば、アニメ、映画、ゲーム業界なども大学生に人気はあるが、採用数が少ない業界である。必ずしもインターンシップがあるとは限らず、ある人気のアニメ映画製作会社を調べたところ、ホームページには「インターンシップは受け付けていない」「新卒採用なし」と書かれていた。
ところが非公開情報ではあるが、その会社にも実はアルバイトのような実質的な長期インターンシップが存在し、それに応募することができるらしい。
その情報にたどりつくにはコネや人脈をたどるしかない。そんなコネはないとあきらめるか、そこでどうにか人づてにたどっていくか。該当分野の専門学校に入るという道もあり、スキルを養うだけでなく、講師の人脈も期待できる。ある学生はSNSでさんざん検索して、そのアニメ製作会社の長期インターンシップの情報にたどり着いたという例もある。
音楽、アニメ、映画、ゲーム業界といった人気業界で採用者数が少ない会社を志望する場合、できれば低学年からインターンシップに参加するという道がある。一般的な就活とは少し違うが、どのくらいの熱量を持って探していくかで道は開けるはずである。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/