知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】早期選考と長期化 「待ち」の姿勢にはリスク 上田晶美(2023/8/8付 日本経済新聞 夕刊)(2023/08/15)


 「今年の就活の変化のトピックはなんですか」と他のキャリアコンサルタントに聞かれた。顕著なのは、「早期選考」という言葉が堂々と言われるようになったことではないだろうか。

 就活解禁となる3月より前の選考を「早期選考」ととらえているようだ。前年のインターンシップから続く選考を以前も一部そう呼んでいたが、今年は広く認知され皆が口をそろえて言うようになった。「早期選考には落ちましたが、本選考で内定をもらえました」などと言う。

 こう聞くとチャンスが2度あるようにも思える。確かにそうとらえることもできるが、要は就活の「長期化」だ。「早期選考」に受かっても、そこで就活を完全に終わらせる人は少なく、もっと良い企業に内定しないかと続けていく人が多い。就職情報大手のディスコ(東京・文京)の調査によれば7月1日時点での内定率は86.0%。内定していても就活を続ける人が11.7%おり、内定がまだない人と合わせて25.7%が活動を続けているのが実態だ。

 まだ今年の就活を総括するには早い気もするが後半戦であることは確かで、就活の主役は3年生以下に移りつつある。2025年大卒予定者からインターンシップの定義が変わったため、今年の就活講座には既に2年生も見受けられるようになった。こうして情報感度の高い学生たちはまずはどんな準備が必要かと早めにリサーチしている。情報量の違いが如実に出るのがこのところの就活である。

 また、就活において情報量と併せて重要なのが、人との出会いではないだろうか。就活という人生の大きな決断に際して、多くの社会人のアドバイスがもらえるとよいだろう。

 そこで危惧するのが就職先候補を仲介する「就活エージェント」の存在だ。情報量が少なく待ちの姿勢の人が頼ってしまいがちである。内定がまだなくても、ある学生は「エージェントに任せていますので」と堂々としていた。自分の就職活動なのにエージェント頼み、人任せになっている。

 就活エージェントを悪者扱いする気はない。卒業間際の最後の最後に就職先を紹介してくれて助かる場合もある。だが、社会経験のない学生たちが主体的に就活エージェントを利用できるかというと、必ずしもそうではない。

 学生はエージェントのことを「自分の就活を親身にアドバイスしてくれる親切な人」と思っている。社会人ならば、そこは「営業」だから当たり前と思って接しても、大学生にはわからない。例えば学生をその企業に入れたら報酬として100万円入るとしたら、親切にしてくれるのは当たり前だ。

 学生のみなさんに言いたいのは「他人任せで良いのか」ということだ。就活では様々な意見に耳を傾けながら、主体的に臨む姿勢を忘れないでほしい。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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