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【就活のリアル転載】地域創生とインターン 中小企業からの学び多く 上田晶美(2023/8/29付 日本経済新聞 夕刊)(2023/09/05)


 「夏のインターンシップで静岡県のある市の事業に関わり、私も講義を担当した。地元の大学生に東京から参加する学生も加わって、約20人が地域の企業の課題解決に取り組む泊まりがけのワークショップである。主催者は市役所で、地域活性化の一助にするのが狙いだ。

 今、大学の経済学部を中心に、地域創生に取り組むコースが増えてきたと感じる。専門とする先生方が増えてきたようだ。日本の地方の過疎化は喫緊の大きな課題であるため、その解決に向けて必要な潮流だと思う。先生が増えるということは学生も増えているということだ。

 今回のインターンシップは学生がグループに分かれて、地元の製造業など中小企業の課題解決のお手伝いをするというもの。課題をリサーチして解決策をプランニングし提案する。イベント等があれば、それも手伝う。初めの3日間が合宿で、その後の話し合いの多くはオンラインで行われる。提案の発表やイベントは再び現地で行い、トータルで3カ月くらいになる。

 都会の大企業の事例ももちろん勉強になるが、残念ながらインターンシップではないワンデー型が多い。しかも大きな組織の一部しか知ることはできない。中小企業であれば、社長が出てきてリアルな話をしてくれたり、経営の全体像を見ることができたりする。地方企業の取り組みについて、学生たちには発見も多いだろう。

 私が担当したのはビジネススキルについて。マナーというと堅苦しいが、インターンシップで接する社会人に、最低限、失礼にならないような振る舞いや、コミュニケーションの取り方について教えてほしいという依頼を受けた。一応の基本を知っておけば、物おじせずに目上の人や社会人とコミュニケーションが取れるようになる。

 例えば企業の方の話を聞く際のヒアリングの手法や質問の仕方など。特にどう質問するかは苦労するものなので、順番として「まずは説明に対するお礼を言ったうえで、質問を1つまたは2つする」とコツを伝えた。

 質問はいくつあるのかを最初に提示して、それもあまり多いと聞く側は把握しきれなくなるので数を絞る。この質問の仕方の「定型」を知っていれば質問もしやすくなる。学生たちはこの型がわかってからはどんどん質問してくれた。経験を積むことが何よりの学びである。

 ワークショップ自体を先導していくのは、先輩学生である4年生と大学院生たちだ。企画側になるのは本人にも良い経験になるし、先輩後輩のつながりが乏しい人が多くなった昨今、学生たちにはかけがえのない関係性だ。

 インターンシップは視野を広げるとともに、ビジネススキルの基本も身に付く良い機会であると実感した。まだ申し込んでいない人はぜひ挑戦してみてほしい。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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