知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】本命企業いつ受ける 早いほうが採用枠広く 曽和利光(2023/9/12付 日本経済新聞 夕刊)(2023/09/19)


 就活生にとって、自分の第1志望の本命企業をどんなタイミングで受けるのかは大きな問題だ。早い方がよいのか、満を持して受けるのか、多くの学生が悩んでいる。

 まず悩むのが、インターンシップに参加すべきかどうかである。文部科学省、経済産業省、厚生労働省によるいわゆる「三省合意」によって、今年から条件を満たしたインターンであれば、得た情報を採用選考に使ってもよくなったため、日系大企業も採用直結型インターンを実施するようになった。長時間かけてワークショップを行うことで、学生側も企業側も、仕事や職場との相性を確認できるので、インターンはできるだけ参加した方がよい。

 ただ、気になるのがインターンの選考で落ちてしまったら、本選考にどのような影響があるかだ。これについては、インターン選考で不合格でも本選考には関係ない企業がほとんどで、実際合格例も多々ある。機会を増やす意味でも、本命企業のインターン選考は参加できるならしておくべきだろう。

 次に、本選考をどのようなタイミングで受けるかが問題になる。採用基準が同じなら、別の企業で面接練習などをしてから本命企業を受ける方がよいのではないかと思える。しかし、ここには落とし穴がある。それは多くの企業が早く応募した人から順に選考を進める五月雨式の採用をしているということだ。

 応募学生を待たせると辞退される危険性があるため、企業は待たせず順に選考を進める。待たせて全員一気に選考を進めるのは、あまり辞退されないごく一部の超人気企業ぐらいだ。

 採用活動早期においては、企業は候補者が採用基準を超えていると判断すれば、躊躇(ちゅうちょ)なく順に内定を出す。内定を待たせると、先に内定を出した企業に学生を取られてしまうからだ。しかし、そうして内定を出していると、徐々に採用枠は埋まってくる。

 例えば「もともと100人採用枠があったが、90人に内定を出して枠が残り10人」となったとする。すると採用基準を超えているだけでは内定を出せなくなってしまうのだ。その時にもし採用基準を超える候補者が30人いたら、その中で残りの枠に入る10人を選ぶことになる。

 つまり、早期に受けていたら基準を超えていて内定をもらえた人でも、採用枠が少なくなった遅い時期では内定をもらえない可能性があるのだ。あまり外に出ない生々しい内情ではあるが、これが現実だ。

 結論としては「本命企業はできるだけ早いうちに受ける」ことを私はお勧めする。もちろん、準備不足で面接を受けては落ちてしまうかもしれないので、ある程度は準備ができてからでないといけない。しかし、「本命は最後に」と考えていると、就活生の知らないうちに採用枠は次々と埋まっていき、どんどん狭き門になっていくのである。

(人材研究所代表)


     

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