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【就活のリアル転載】面接でどう話す 話が長いと敬遠される 上田晶美(2023/10/10 日本経済新聞 夕刊)(2023/10/17)


 2024年入社に向けた内定式が終わり、大学4年生の就活は一段落した感があるが、まだ内定のない人、就活を続けている人の相談を受けている。

 内定がない理由は様々だが、「就活に出遅れた」というのがその一つ。インターンシップからの波に乗り遅れ、サークル活動やアルバイトなどに専念しているうちに、後手後手にまわってしまったといったことが考えられる。

 私のところに相談に来ているA子さんは、まさにそんな出遅れ組。出遅れてしまったがゆえに、面接本番に対する慣れが少なく、緊張しすぎたり、対応力がないというのが一番大きな理由である。

 エントリーシートは大学のキャリアセンターで学チカ、自己PRなど、とてもよいものに仕上げてもらっている。だが、それを面接で話すとなると、自分の言葉で伝えなくてはならない。彼女は考え考え話すタイプで、人の倍くらいの時間がかかる。通常の人なら200字くらいの文章であれば1分程度で話せるものだが、2分くらいかかってしまう。面接で「話が長い人」は敬遠されがちだ。

 そこで、彼女が1分程度で話せるように100字くらいに要約して練習するようにした。

 1分でなくてはならないという決まりがあるわけではない。ただ、一問一答では中身が薄くなるので、エピソードなども入れると1分くらいにはなるものだ。1分ならば飽きずに聞いていられるが、2分となると採用担当者は少し長いな、と感じるかもしれない。もしかしたら、1分でも長いと感じる人もいるだろうし、業界によっても、会社によっても違うといえる。長からず、短からずの長さで1分くらいがよいのではないかとアドバイスしている。

 私の髪をカットしてくれる20代の美容師さんは話すのがとてもゆっくりしている。休日の午後にゆったりとした時間を過ごすのに大変心地よい。ハイセンスな街にあるその美容室の雰囲気にも合っているように思う。

 美容室によってもスピード感は違うだろう。駅の近くや駅ビルの中の美容室ならば急いでカットしたい客層に合ったテンポが必要だ。実際彼女に聞いてみたら、新卒で選考試験を受けたとき、落ちた美容室もあったそうだ。「私はゆっくりとしか話せなくて。いくつか美容室の大手チェーン店を受けましたが落ちたところもあり、そこは合わなかったんだなーと思います」

 A子さんも自分のテンポにあった会社に入ってほしいが、一般企業の場合、仕事の効率を考えるとスピード感は重要になる。いわゆるタイパだ。話し方も相手に「長い」と感じさせないように、スピードだけでなく、結論からコンパクトに話せるように工夫したい。エントリーシートをそのまま読み上げるのではなく、面接用に短くしておくのもよいと思う。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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