「まずは仕事を覚えてから海外との取引関係の担当になれればと思っていたのですが、職場がブラック過ぎてついていけません。まだ入社後半年ですが、辞めてもいいでしょうか」。新入社員のC子さんから相談を受けた。
月曜日の朝起きたら、「今日は会社だ」と思うと体が動かなくなり、涙が出てきてしまうという。そう言いながら涙をぬぐい、ズームの画面越しに話している。「今日はとにかく会社はお休みにしましょう」と伝えて話を聞いた。
海外への留学経験があり、英語を生かした仕事がしたいと思いを定めて就活をしたという。
サービス業は向かないと思い、海外との取引があるメーカーに入社したのだが、配属先は海外担当部署ではなく、国内向けの部署だった。そのうえ上司はすぐに怒鳴るパワハラ系。残業もあり、ピリピリした職場なのだそうだ。何年後に海外担当になれるかもわからず、体に不調をきたし、行き詰まって相談してきた。
自らのキャリアについてのC子さんの就活時の計画は決して間違っているとは思えない。一方で、すぐに海外担当は難しいだろうから、まずは国内担当で仕事を覚えてもらおうという会社側の判断もまっとうである。ところが上司の巡り合わせが悪かったということか。
直属の上司には相談できそうにないので、外部のキャリアコンサルタントに相談してくれたわけだが、やはり、一度社内の人、例えば人事担当に相談しなければならないだろう。おそらく退社は引き留められて、何か対策を講じてくれるはずだ。
C子さんは体育会系で負けず嫌い。入社半年で辞めることが悔しいし、その後転職するといっても難しいのではないかと心配している。だが、体が動かなくなるような、自然と涙が出てしまうような深刻な状態になってしまったら会社を休むしかない。いずれは辞めるなど、自分を守ることが第一だ。
そこで我慢が足りないと言うのは前時代的な発想で、登校拒否を怠けていると言っていたようなものだ。入社後半年で会社を辞めるというのは、自分では自己肯定感が下がるかもしれない。しかし辞めてもいいし、第二新卒として出直すことは十分にできる。
C子さんのようになることを恐れて、就活生は応募先の会社がブラックかどうか見極めたいと思っていることだろう。だが、正直なところ、入ってみないとわからない部分は多かれ少なかれある。この若手希少時代に、新入社員を追い込む会社は言語道断だが、実際にないとは言い切れない。
会社が合う合わない、上司が合う合わないはあるものだ。その時は逃げてもいい。大丈夫、いつでも転職することは可能だ。あれこれ悩み過ぎず、まずは社会に出てみよう。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/