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【就活のリアル転載】納得できる職業選択へ キャリア、早めに意識を  栗田貴祥(2023/11/7付 日本経済新聞 夕刊)(2023/11/14)


 大学でのキャリア教育が義務化され、12年がたつ。大学は学問を学ぶことに加え「将来をいかに生きるか」を考える場所でもある。そんなメッセージの背景には、不確実な社会環境での働き方や生き方の多様化があるだろう。今の学びや経験が将来にどうつながるのか、「学ぶ」と「働く」を接続させるべく、大学1、2年の段階からアンテナを張っておくことはますます大切になる。

 では、実際の学生は卒業後の「働く」をどこまで意識しているのだろう。リクルート就職みらい研究所では今年6月に、「2022年入学 大学2年生の大学生活等に関する調査」を実施した。

 卒業後働くことを意識しているかについて聞いたところ、「意識している」が43.5%、「どちらかというと意識している」が41.8%となり、合計で8割を超えた。大学入学後に「キャリア」に関する授業を受けたことがあるかと聞くと、55.7%が「ある」と回答した。

 授業を受けて得たものや身についたと思うものは「大学でのキャリアサポートの内容について」が42.1%、続いて「仕事のやりがいについて」が39.5%、「世の中にはどのような仕事があるのか」が38.2%だった。仕事について広く知る上で、大学のキャリア教育が一定の機会提供になっていることがうかがえる。

 大学低学年のときから、仕事について考え始めることを「就活の早期化」と懸念する方もいるかもしれない。ただ、将来どんな生き方を望み、生きる上でどう働きたいのかを考えることは、「主体的に学ぶ」という点においても、「自分らしく働く」という点においても重要ではないかと考える。早い段階からキャリアを考えることは、納得感のある職業選択につながることもわかっている。

 当研究所がまとめた「就職白書2023」で、「卒業後の進路について具体的に考え始めた時期別の就職活動開始時点での働く意欲」に関する調査では、働く意欲が「十分ある」「どちらかというと十分」と答えた学生は、高校生以前に進路を考え始めた学生では70.7%、大学1年または2年で考え始めた学生は68.9%と高い。大学3年前期になると55.9%、大学3年後期で54.9%と減少していくことから、早い段階から自分の将来を意識することの重要性がうかがえる。

 世の中にはどんな仕事があり、自分には何が向いていそうか。そうやって、将来の人生や将来の働くをイメージした時に、今の「学び」はどうつながっていくものなのか。

 「学ぶ」と「働く」を接続させることに思いを巡らせ、それらの好循環を生み出すために試行錯誤を重ねておくことが、卒業後の自分らしい選択、ひいては、自分らしい人生につながっていくのかもしれない。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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